今回のテーマは、「共分散・ポートフォリオの標準偏差」である。
それでは、「ファイナンシャル・プランニング技能検定 1級 学科試験<応用編>(2023年9月10日実施)」で出題された過去問にチャレンジしてみよう。
ファイナンシャル・プランニング技能検定 1級 学科試験<応用編>(2023年9月10日実施)【第2問】
《設 例》
Aさん(46歳)は、これまで投資信託Yで資産運用を行ってきたが、余裕資金が生じたため、投資額を増やしたいと考えている。現在、投資信託Zに興味があり、下記の資料を参考にして、投資判断を行いたいと考えている。また、Aさんは、保有している投資信託の運用結果について、どのように評価すればよいのか知りたいと思っている。
そこで、Aさんは、ファイナンシャル・プランナーのMさんに相談することにした。
《問56》 《設例》の〈投資信託Y・投資信託Zの実績収益率・標準偏差・相関係数〉に基づいて、次の①および②に答えなさい。〔計算過程〕を示し、〈答〉は表示単位の小数点以下第3位を四捨五入し、小数点以下第2位までを解答すること。
① 投資信託Yと投資信託Zの共分散はいくらか。
② 投資信託Yと投資信託Zを6:4の割合で組み入れたポートフォリオの標準偏差は
いくらか。
一般社団法人金融財政事情研究会 ファイナンシャル・プランニング技能検定 1級 学科試験<応用編>【第2問】(2023年9月10日実施)改題・抜粋
正解 ①131.25 ②12.46(%)
① 投資信託Yと投資信託Zの共分散
相関係数は、2資産間の共分散と、それぞれの標準偏差を用いて、以下の算式で計算できる。
A資産とB資産の相関係数=$\frac{A資産とB資産の共分散}{A資産の標準偏差×B資産の標準偏差}$
本問では、相関係数と、それぞれの標準偏差が与えられているので、共分散をXとすれば、
0.70=$\frac{x}{12.50×15.00}$
x=0.70×12.50×15.00=131.25
②投資信託Yと投資信託Zを6:4の割合で組み入れたポートフォリオの標準偏差
2資産で構成されるポートフォリオの分散及び標準偏差は、各資産の共分散を用いて以下のように計算できる。
・A資産とB資産のポートフォリオの分散
=$Aの組入比率^{2}×Aの標準偏差^{2}$
$+Bの組入比率^{2}×Bの標準偏差^{2}$
+ 2 × Aの組入比率 × Bの組入比率 × 共分散
・$標準偏差=\sqrt{分散}$
(1)分散=$0.6^{2}×12.5^{2}+0.4^{2}×15.00^{2}+2×0.6×0.4×131.25$
=155.25
(2)$標準偏差=\sqrt{155.25}=12.4599..$
12.46(%) (小数点以下第3位を四捨五入し、小数点以下第2位で解答)
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