今回のテーマは、「個人年金保険の税金」である。
それでは、「ファイナンシャル・プランニング技能検定 2級 学科試験(2024年1月28日実施)」で出題された過去問にチャレンジしてみよう。
ファイナンシャル・プランニング技能検定 2級 学科試験(2024年1月28日実施)問題 14
問題 14
個人年金保険の税金に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。なお、いずれも契約者(=保険料負担者)および年金受取人は同一人であり、個人であるものとする。
1.個人年金保険の年金に係る雑所得の金額は、その年金額から、その年金額に対応する払込保険料および公的年金等控除額を差し引いて算出する。
2.個人年金保険の年金に係る雑所得の金額が25万円以上である場合、その年金の支払時に当該金額の20.315%相当額が源泉徴収等される。
3.個人年金保険(10年確定年金)において、年金受取人が年金受取開始日後に将来の年金給付の総額に代えて受け取った一時金は、一時所得として所得税の課税対象となる。
4.個人年金保険(保証期間付終身年金)において、保証期間中に年金受取人が死亡して遺族が取得した残りの保証期間の年金受給権は、雑所得として所得税の課税対象となる。
一般社団法人金融財政事情研究会 ファイナンシャル・プランニング技能検定 2級 学科試験(2024年1月28日実施)
正解:3
それでは、各肢を検討していこう。
2024年1月実施の問題は、特に指示のない限り、2023年10月1日現在施行されている法令等により出題されているが、正解及び解説は、本稿執筆現在施行されている法令等に基づくものとする。
1 誤り。
個人年金保険から年金を受け取った場合
雑所得=その年に受け取る年金額ー必要経費
その年に受け取る年金額=基本年金額+増額年金額+増加年金額
必要経費=(基本年金額+増額年金額)×必要経費率
必要経費率=$\frac{正味払込保険料総額}{年金受取総額または見込み額}$(小数点3位を切り上げ)
※増額年金とは、年金受取開始時までの配当金によって買増しされた部分。
※増加年金とは、年金受取開始後の配当金によって買増しされた部分。
したがって、個人年金保険の年金に係る雑所得の金額は、その年金額から、その年金額に対応する払込保険料は必要経費として算出して差し引くが、公的年金等控除額は差し引かない。
2 誤り。
個人年金保険の年金に係る雑所得の金額が25万円以上である場合、雑所得の金額の10.21%が源泉徴収される。
(類題)契約者(=保険料負担者)と年金受取人が同一人である個人年金保険において、当該個人年金保険から受け取る年金に係る雑所得の金額が25万円以上である場合、その受取時に雑所得の金額の20.315%が源泉徴収される。✖
1級 学科試験<基礎編>(2023年1月22日実施)問11ー1
3 正しい。
年金を一括で受け取る場合(確定年金、保証期間付終身年金のみ可能)の扱い
確定年金
所得税(一時所得)、住民税が課されて契約は消滅する。
保証期間付終身年金
保証期間分の一括受取額に所得税(雑所得)、住民税が課される。
保証期間経過後に生存していた場合、年金が支払われ、所得税(雑所得)、住民税が課される。
(類題)個人年金保険(保証期間付終身年金)において、年金支払開始時に保証期間分の年金額を一括で受け取った場合、雑所得として総合課税の対象となる。〇
1級 学科試験<基礎編>(2023年1月22日実施)問11ー2
4 誤り。
個人年金保険(保証期間付終身年金)において、保証期間中に年金受取人が死亡して遺族が取得した残りの保証期間の年金受給権は、相続税の課税対象となる。
(類題)契約者、被保険者および年金受取人が同一人である個人年金保険(保証期間付終身年金)において、保証期間内に被保険者が死亡し、残りの保証期間について相続人等が受け取る年金の年金受給権は、相続税の課税対象となる。〇
2級 学科試験(2023年1月22日実施)問題 15ー3
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