FP2級の過去問を解こう(2024年1月)「法人の生命保険料等の経理処理」

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今回のテーマは、「法人の生命保険料等の経理処理」である。

それでは、「ファイナンシャル・プランニング技能検定 2級 学科試験(2024年1月28日実施)」で出題された過去問にチャレンジしてみよう。

ファイナンシャル・プランニング技能検定 2級 学科試験(2024年1月28日実施)問題 15

問題 15
契約者(=保険料負担者)を法人とする生命保険に係る保険料等の経理処理に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。なお、いずれの保険契約も保険料は年払いかつ全期払いで、2023年10月に締結したものとする。

1.被保険者が役員、死亡保険金受取人が法人である終身保険の支払保険料は、その全額を資産に計上する。
2.被保険者が役員・従業員全員、死亡保険金受取人が被保険者の遺族、満期保険金受取人が法人である養老保険の支払保険料は、その全額を損金の額に算入することができる。
3.被保険者が役員・従業員全員、給付金受取人が法人である医療保険について、法人が受け取った入院給付金および手術給付金は、その全額を益金の額に算入する。
4.被保険者が役員、死亡保険金受取人が法人で、最高解約返戻率が80%である定期保険(保険期間30年)の支払保険料は、保険期間の前半4割相当期間においては、その60%相当額を資産に計上し、残額を損金の額に算入することができる。

一般社団法人金融財政事情研究会 ファイナンシャル・プランニング技能検定 2級 学科試験(2024年1月28日実施)

正解:2

それでは、各肢を検討していこう。
2024年1月実施の問題は、特に指示のない限り、2023年10月1日現在施行されている法令等により出題されているが、正解及び解説は、本稿執筆現在施行されている法令等に基づくものとする。

1 正しい。

被保険者が役員、死亡保険金受取人が法人である終身保険の支払保険料は、その全額を資産に計上する。

支払った生命保険料の経理処理(原則
生命保険経理処理具体例
貯蓄性のない保険損金算入(費用計上)定期保険(受取人は法人)
貯蓄性のある保険資産計上養老保険・終身保険(受取人は法人)

2 誤り。

養老保険については、下記の場合、支払った保険料の2分の1を福利厚生費として損金算入できる。これを、「ハーフタックスプラン」と呼ぶ。

ハーフタックスプランの経理処理
契約者被保険者     保険金受取人経理処理
死亡保険金満期保険金
法人役員・従業員の全員被保険者の遺族法人2分の1を損金算入(福利厚生費
2分の1を資産計上(保険料積立)

3 正しい。

被保険者が役員・従業員全員、給付金受取人が法人である医療保険について、法人が受け取った入院給付金および手術給付金は、その全額を益金の額に算入する。

4 正しい。

被保険者が役員、死亡保険金受取人が法人で、最高解約返戻率が80%である定期保険(保険期間30年)の支払保険料は、保険期間の前半4割相当期間においては、その60%相当額を資産に計上し、残額を損金の額に算入することができる。

法人契約の定期保険及び第三分野保険(医療保険、がん保険、民間の介護保険など)については、最高解約返戻率に応じて、経理処理の方法が2019年7月8日以降の契約について変更された。

最高解約返戻率資産計上期間同期間に支払った保険料の資産計上割合同期間に支払った保険料の損金計上割合資産計上した保険料の取崩し期間(損金算入)
50%以下なしなし全額なし
50%超70%以下保険期間の40%相当期間経過まで40%60%保険期間の75%相当の期間経過後から保険期間終了まで
70%超85%以下60%40%
85%超原則、最高解約返戻率となる期間まで・当初から10年目まで・・最高解約返戻率×90%
・11年目以降・・最高解約返戻率×70%
100%ー資産計上割合解約返戻金が最も高額になる期間から保険期間終了まで
最高解約返戻率ごとの資産計上期間、資産計上・損金算入割合・取崩し期間

なお、最高解約返礼率が、「50%超70%以下」の場合において、年換算保険料相当額(支払った保険料の全額÷保険期間)が30万円以下の場合は全額損金算入する。また、保険期間が3年未満の保険契約も全額損金算入する。

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