今回のテーマは、「 民法における特別受益」である。
それでは、「ファイナンシャル・プランニング技能検定 1級 学科試験<基礎編>(2024年9月8日実施)」で出題された過去問にチャレンジしてみよう。
ファイナンシャル・プランニング技能検定 1級 学科試験<基礎編>(2024年9月8日実施)《問44》
《問44》 民法における特別受益に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。
1) 相続人ではない被相続人の孫が、被相続人から現金の遺贈を受けた場合、その現金は、原則として、特別受益に該当する。
2) 婚姻期間が20年以上の夫婦において、夫が妻に対し、その居住用建物とその敷地を遺贈した場合、夫は、その遺贈について特別受益の持戻し免除の意思表示をしたものと推定される。
3) 特別受益に該当する贈与の価額のうち、遺留分を算定するための財産の価額に加算されるのは、原則として、被相続人の相続開始前5年間に行われた贈与によるものに限られる。
4) 共同相続人のなかに被相続人を契約者(=保険料負担者)および被保険者とする生命保険の死亡保険金を受け取った者がいる場合、その死亡保険金は、原則として、特別受益に該当する。
一般社団法人 金融財政事情研究会 ファイナンシャル・プランニング技能検定 1級 学科試験<基礎編>(2024年9月8日実施)
正解:2
それでは、各肢を検討していこう。
1 誤り。
共同相続人中に、被相続人から、遺贈を受け、又は婚姻若しくは養子縁組のため若しくは生計の資本として贈与を受けた者があるときは、被相続人が相続開始の時において有した財産の価額にその贈与の価額を加えたものを相続財産とみなし、本来の相続分の中からその遺贈又は贈与の価額を控除した残額をもってその者の相続分とする。(民法903条1項)
本肢の孫は相続人ではないので、特別受益に該当しない。
2 正しい。
婚姻期間が20年以上の夫婦の一方である被相続人が、他の一方に対し、その居住の用に供する建物又はその敷地について遺贈又は贈与をしたときは、当該被相続人は、その遺贈又は贈与について特別受益の持ち戻し免除の意思を表示したものと推定する。(903条4項)
3 誤り。
相続人に対する贈与は、特別受益(婚姻若しくは養子縁組のため又は生計の資本として受けた贈与の価額に限る。903条1項参照)にあたり、かつ、相続開始前の10年間にしたものに限り、遺留分を算定するための基礎となる財産の価額に加算される。(民法1044条3項)
したがって、被相続人の相続開始前5年間に行われた贈与によるものに限らない。
4 誤り。
生命保険金や死亡退職金は、原則として特別受益には該当しない。ただし、不公平とみられるほど高額な場合は、特別受益になることもある。
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