今回のテーマは、「所得税の基本的な仕組み」である。
それでは、「ファイナンシャル・プランニング技能検定 2級 学科試験(2024年1月28日実施)」で出題された過去問にチャレンジしてみよう。
問題 31
所得税の基本的な仕組みに関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。
1.所得税では、納税者が申告した所得金額に基づき、納付すべき税額を税務署長が決定する賦課課税方式が採用されている。
2.所得税の課税対象は国内において生じた所得のみであり、国外において生じた所得が課税対象となることはない。
3.所得税における居住者とは、国内に住所を有し、または現在まで引き続いて1年以上居所を有する個人をいう。
4.所得税額の計算において課税総所得金額に乗じる税率には、課税総所得金額が大きくなるにつれて段階的に税率が高くなる超過累進税率が採用されており、その最高税率は30%である。
一般社団法人金融財政事情研究会 ファイナンシャル・プランニング技能検定 2級 学科試験(2024年1月28日実施)
正解:3
それでは、問題を検討していこう。
なお、問題は、特に指示のない限り、2023年10月1日現在施行の法令等に基づいて出願されているが、正解及び解説は、執筆時点の法令等に基づいて執筆する。
1 誤り。
所得税では、納税者が自分で税額を計算して納めるべき金額を申告し、納税する「申告納税方式」が採用されている。
納税方法の課税方式による区分
- 申告納税方式 所得税、法人税、贈与税、相続税など。
納税者が自分で税額を計算して納めるべき金額を申告し、納税する。(確定申告して納税する) - 賦課課税方式 住民税、固定資産税、自動車税など。
国や地方公共団体が計算して通知した税額を納める
(類題)所得税では、原則として、納税者本人の申告により納付すべき税額が確定し、この確定した税額を納付する申告納税制度が採用されている。〇
2級 学科試験(2023年9月10日実施)問題 31ー1
所得税では、納税者本人が所得の金額とこれに対応する税額を計算し、申告・納付する申告納税方式を採用している。〇
2級 学科試験(2022年5月)問題 31ー4
2 誤り。
課税所得の範囲は下記の図を参照。
個人の区分 | 定義 | 課税所得の範囲 | |
---|---|---|---|
居住者 | 非永住者以外の居住者 | 次のいずれかに該当する個人のうち非永住者以外の者 ・ 日本国内に住所を有する者 ・ 日本国内に現在まで引き続き1年以上居所を有する者 | 国内および国外において生じたすべての所得 |
非永住者 | 居住者のうち、次のいずれにも該当する者 ・ 日本国籍を有していない者 ・ 過去10年以内において、日本国内に住所又は居所を有していた期間の合計が5年以下である者 | 国外源泉所得以外の所得および国外源泉所得で日本国内において支払われ、または国外から送金されたもの | |
非居住者 | 居住者以外の個人 | 国内源泉所得 |
(参考)No.2010 納税義務者となる個人(国税庁Webサイト)
(類題)所得税の納税義務を負うのは居住者のみであり、非居住者が所得税の納税義務を負うことはない。✖
2級 学科試験(2023年9月10日実施)問題 31ー2
3 正しい。
居住者とは、日本国内に住所があるかまたは現在まで引き続いて1年以上居所がある個人をいう。
なお、居住者は、「非永住者以外の居住者」と「非永住者」に分かれる。
(参考)No.2875 居住者と非居住者の区分(国税庁Webサイト)
4 誤り。
所得税額の計算において課税総所得金額に乗じる税率には、課税総所得金額が大きくなるにつれて段階的に税率が高くなる超過累進税率が採用されており、その最高税率は45%である。
所得税
所得税は、個人が1月1日から12月31日までの1年間に得た所得に対して課税される(暦年課税単位)
所得金額 = 収入金額 - 必要経費
所得が高い人ほど、税金の負担能力が高いので、所得が高くなるにつれて税率が高くなる超過累進税率(5%から45%の7段階)を採用している。
(類題)所得税額の計算において課税総所得金額に乗じる税率は、課税総所得金額が大きくなるにつれて段階的に税率が高くなる超過累進税率が採用されている。〇
2級 学科試験(2023年9月10日実施)問題 31ー4
(解法のポイント)所得税の基本的な仕組みについては、これまでも同じ論点が問い方を変えて繰り返し出題されている。いかに過去問学習が大切かがわかる。過去問学習を通じて確実に得点したい。
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