FP2級の過去問を解こう(2024年1月)「民法・借地借家法」

定期借家契約 FP

今回のテーマは、「民法・借地借家法」である。

それでは、「ファイナンシャル・プランニング技能検定 2級 学科試験(2024年1月28日実施)」で出題された過去問にチャレンジしてみよう。

ファイナンシャル・プランニング技能検定 2級 学科試験(2024年1月28日実施)問題 43

問題 43
民法および借地借家法に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。なお、本問においては、借地借家法第38条における定期建物賃貸借契約を定期借家契約といい、それ以外の建物賃貸借契約を普通借家契約という。また、記載のない特約については考慮しないものとする。

1.賃借人は、建物の引渡しを受けた後の通常の使用および収益によって生じた建物の損耗ならびに経年変化については、賃貸借が終了したときに原状に復する義務を負わない。
2.普通借家契約において、賃借人が賃貸人の同意を得て建物に付加した造作について、賃貸借終了時、賃借人が賃貸人に、その買取りを請求しない旨の特約をした場合、その特約は無効である。
3.定期借家契約を締結するときは、賃貸人は、あらかじめ、賃借人に対し、契約の更新がなく、期間満了により賃貸借が終了することについて、その旨を記載した書面を交付し、または、賃借人の承諾を得て当該書面に記載すべき事項を電磁的方法により提供して、説明しなければならない。
4.定期借家契約において、経済事情の変動があっても賃貸借期間中は賃料を増減額しないこととする特約をした場合、その特約は有効である。

一般社団法人金融財政事情研究会 ファイナンシャル・プランニング技能検定 2級 学科試験(2024年1月28日実施)

正解:2

それでは、各肢を検討していこう。
2024年1月実施の問題は、特に指示のない限り、2023年10月1日現在施行されている法令等により出題されているが、正解及び解説は、本稿執筆現在施行されている法令等に基づくものとする。

1 正しい。

賃借人は、建物の引渡しを受けた後の通常の使用および収益によって生じた建物の損耗ならびに経年変化については、賃貸借が終了したときに原状に復する義務を負わない

2 誤り。

建物の賃貸人の同意を得て建物に付加した畳、建具その他の造作がある場合には、建物の賃借人は、建物の賃貸借が期間の満了又は解約の申入れによって終了するときに、建物の賃貸人に対し、その造作を時価で買い取るべきことを請求することができる。(造作買取請求権 借地借家法33条1項)

もっとも、この造作買取請求権は任意規定なので、これを排除する特約は、可能である。(借地借家法37条参照)

類題)区分所有者Aが、自己の所有するマンションの専有部分をBに賃貸する契約において、AB間で合意した次の特約は、民法及び借地借家法の規定によれば、無効であるか。
BがAの同意を得て建物に付加した造作であっても、賃貸借契約の終了に際して、造作買取請求はできない特約 ✖
令和3年度 管理業務主任者試験問題 問 41改題

3 正しい。

定期建物賃貸借契約(定期借家契約)とは
更新がなく一定期間で契約が終了する建物賃貸借契約である。
借家期間は1年未満でもよく、最長期間の制限もない。
契約を締結する際には、公正証書の書面(または、電磁的方法)で行う必要がある。

賃貸人は、契約締結に、賃借人に対して、「契約の更新がなく、期間満了で終了する」旨を記載した書面(または、電磁的方法)で説明しなければならない。この説明がないと、普通借家契約となる。

類題)賃貸人は、定期借家契約締結後、速やかに、建物の賃借人に対して契約の更新がなく、期間の満了により当該建物の賃貸借が終了する旨を記載した書面を交付しなければならない。✖
2級 学科試験(2023年1月22日実施)問題 45ー3

4 正しい。

定期借家契約は、書面で契約する。そして、賃料増減請求権(借地借家法第32条)を排除することが可能である。(借地借家法第38条9項)

類題)定期借家契約において、その賃料が、近傍同種の建物の賃料に比較して不相当となっても、賃貸借 期間中は増減額させないこととする特約をした場合、その特約は有効である。〇
2級 学科試験 (2022年度9月実施)問題 44ー4

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