今回のテーマは、「金融資産運用」である。
それでは、「ファイナンシャル・プランニング技能検定 3級 学科試験(2024年1月28日実施)」で出題された過去問にチャレンジしてみよう。
【第1問】 次の各文章(11)~(15)を読んで、正しいものまたは適切なものには〇で、誤っているものまたは不適切なものには✖で答えなさい。
(11) 日本銀行の金融政策の1つである公開市場操作(オペレーション)のうち、国債買入オペは、日本銀行が長期国債(利付国債)を買い入れることによって金融市場に資金を供給するオペレーションである。
(12) 株式投資信託の運用において、個別銘柄の投資指標の分析や企業業績などのリサーチによって投資対象とする銘柄を選定し、その積上げによりポートフォリオを構築する手法を、トップダウン・アプローチという。
(13) 元金2,500,000円を、年利4%(1年複利)で3年間運用した場合の元利合計額は、税金や手数料等を考慮しない場合、2,812,160円である。
(14) 為替予約を締結していない外貨定期預金において、満期時の為替レートが預入時の為替レートに比べて円高になれば、当該外貨定期預金の円換算の利回りは高くなる。
(15) 日本国内に本店のある銀行の国内支店に預け入れた外貨預金は、元本1,000万円までとその利息が預金保険制度による保護の対象となる。
一般社団法人金融財政事情研究会 ファイナンシャル・プランニング技能検定 3級 学科試験(2024年1月28日実施)問題指示文一部改変
正解 | (11) 〇 | (12) ✖ | (13) 〇 | (14) ✖ | (15) ✖ |
それでは、各問を検討していこう。
問題は、特に指示のない限り、2023年10月1日現在施行されている法令等により出題されているが、本稿では正解及び解説は執筆時点で施行されている法令等に基づいて執筆する。
(11) 〇
日本銀行は、物価の安定や持続的な経済成長や国際収支の均衡などの観点で金融政策を行う。金融政策の手段として、「公開市場操作」がある。
景気刺激策(金融緩和) | 景気抑制策(金融引き締め) | |||
---|---|---|---|---|
公開市場操作 | 買いオペ | 市場資金を供給 | 売りオペ | 市場資金を吸収 |
・買いオペ → 資金供給 → 金利低下(金融緩和)
・売りオペ → 資金吸収 → 金利上昇(金融引き締め)
(類題)日本銀行の金融市場調節の主な手段の1つである公開市場操作において、日本銀行が国債の買入れを行うことで市中に出回る資金量が増加することは、一般に、市中金利の低下要因となる。
〇
2級学科試験(2022年9月) 問題 21ー4
(12) ✖
株式投資信託の運用において、個別銘柄の投資指標の分析や企業業績などのリサーチによって投資対象とする銘柄を選定し、その積上げによりポートフォリオを構築する手法をボトムアップ・アプローチという。
投資信託
投資対象による分類
公社債投資信託 公社債を中心に運用。株式の組み入れはできない。
株式投資信託 株式の組み入れが可能。株式が入っていないものもある。
不動産投資信託 主に不動産を中心に運用する
投資信託の運用方法
バッシブ運用 「ベンチマーク」に連動した運用を目標とする。
アクティブ運用 「ベンチマーク」を上回る運用を目標とする。
アクティブ運用の手法(キーワード)
・トップダウン・アプローチ→マクロ経済(環境要因)
・ボトムアップ・アプローチ→個別企業
・グロース投資→成長性
・バリュー投資→割安
(類題)パッシブ型投資信託は、対象となるベンチマークに連動する運用成果を目指して運用される投資信託である。〇
2級 学科試験(2022年度9月)問題 22ー4
(13) 〇
複利計算式(税引前)
満期時の元利合計=元本×$\left( 1+\dfrac{年利率}{100}\right) ^{n}$
※nには複利となる年数が入る(半年複利なら年数の2倍)
250万円×$\left( 1+\dfrac{4}{100}\right) ^{3}=2,812,160$円
(電卓の使い方)乗数nを計算する場合、「=」を「n-1」回押す。
「2の3乗」なら「2×==」・・カシオ以外の電卓の場合
カシオの電卓の場合 ・・「2××==」
(14) ✖
為替予約を締結していない外貨定期預金において、満期時の為替レートが預入時の為替レートに比べて円高になれば、当該外貨定期預金の円換算の利回りは低くなる。
「為替予約を締結していない外貨定期預金」は為替差益を期待できるが、反面、為替リスクを負っているともいえる。
外貨に投資したときよりも円安になれば、円に戻すことにより円換算での利回りは高くなる。
(例)外貨預金に預入(1ドル=100円)→満期時:円安(1ドル=110円)→預金を円に換算(110円)→利回りは高い
(15) ✖
日本国内に本店のある銀行の国内支店に預け入れた外貨預金は、預金保険制度の対象外である。
預金保険制度とは、セーフティネット(顧客の預貯金を守る安全網)の一つで、日本国内に本店がある金融機関(銀行等)が破綻した場合、預金保険機構が一つの金融機関ごとに、預金者一人につき、元本1,000万円までとその利息を保護する制度である。
なお、預金保険制度では、決済用預金は全額保護される。
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