今回のテーマは、「確定拠出年金(企業型年金)」である。
それでは、「ファイナンシャル・プランニング技能検定 1級 学科試験<基礎編>(2024年1月28日実施)」で出題された過去問にチャレンジしてみよう。
ファイナンシャル・プランニング技能検定 1級 学科試験<基礎編>(2024年1月28日実施)《問6》
《問6》 確定拠出年金の企業型年金に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。
1) 企業型年金は、労使の合意に基づき企業型年金規約を作成し、厚生労働大臣の承認を受けて実施されるもので、企業型年金加入者となることができるのは実施事業所に使用される65歳未満の者に限られる。
2) 企業型年金において、加入者掛金(マッチング拠出)を規約で定める場合、事業主掛金と加入者掛金の合計額が拠出限度額以下であれば、加入者掛金の額は、その加入者に係る事業主掛金の額を超える額とすることができる。
3) 運用関連運営管理機関等は、企業型年金の運用の方法として、上場企業である企業型年金の実施事業所に使用される企業型年金加入者に対し、当該実施事業所の株式を選定し、提示することはできない。
4) 脱退一時金の請求は、企業型年金加入者であった者が加入者資格を喪失した日の属する月の翌月から6カ月以内にしなければならない。
一般社団法人金融財政事情研究会 ファイナンシャル・プランニング技能検定 1級 学科試験<基礎編>(2024年1月28日実施)
正解:4
それでは、問題を検討していこう。
なお、問題は、特に指示のない限り、2023年10月1日現在施行の法令等に基づいて出願されているが、正解及び解説は、執筆時点の法令等に基づくものする。
1 誤り。
企業型DC(企業型確定拠出年金)
加入対象者
実施企業に勤務する従業員
※厚生年金保険の被保険者のうち
厚生年金保険法第2条の5第1項第1号に規定する第1号厚生年金被保険者、
または同項第4号に規定する第4号厚生年金被保険者。
なお、適用事業所に使用される70歳未満の者は、厚生年金保険の被保険者とする。(厚生年金保険法9条)
したがって、企業型年金加入者となることができるのは実施事業所に使用される65歳未満の者に限られるのではない。
2 誤り。
マッチング(追加)拠出制度
企業型確定拠出年金において、規約に定めることで、企業の掛金に従業員が掛金を上乗せできる。
ただし、従業員の拠出する掛金の額は、企業(事業主)の掛金の額以下でなければならない。
そして、合計額は、拠出限度額の範囲でなければならない。
3 誤り。
確定拠出年金の運用
- 運営管理機関(金融機関等)が選定・提示する運用商品(投資信託、保険商品、預貯金等)の中から、加入者等自身が商品を選んで運用する。
- 運用商品は、必ず3以上(簡易企業型年金においては2以上)35以下(※)の商品を選択肢として選定・提示することとなっている。
※平成30年5月1日時点において提示している商品数が35を上回っている場合、5年間は平成30年5月1日時点の商品数が上限。 - 加入者等は、複数の運用商品を選ぶこともでき、運用の途中で運用商品を変更することもできる。
そして、当該実施事業所の株式を選定し、提示することは禁止されてはいない。
4 正しい。
脱退一時金の受給要件(抄)
- 個人別管理資産額が1.5万円以下である場合
- 企業型加入者、企業型運用指図者、個人型加入者及び個人型運用指図者でないこと
- 個人別管理資産の額が1.5万円以下であること
- 最後に企業型の資格を喪失した日の翌月から6ヵ月を経過していないこと
- ※上記(1)~(3)のいずれにも該当する必要がある。
(参考)三井住友銀行のWebサイト
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