今回のテーマは、「退職所得・事業所得・総所得金額」である。
それでは、「ファイナンシャル・プランニング技能検定 1級 学科試験<応用編>(2025年9月14日実施)」で出題された過去問にチャレンジしてみよう。
ファイナンシャル・プランニング技能検定 1級 学科試験<応用編>(2025年9月14日実施)【第3問】
【第3問】 次の設例に基づいて、《問58》に答えなさい。
《設 例》
Aさん(45歳)は、2025年8月に22年5カ月勤めた商社を退職し、個人で輸入雑貨小売店を開業した。在職中から開業準備を進めるにあたって、店舗となる建物の近くに引っ越すことにしたAさんは、父から借り受けた土地の上に自宅を新築しており、2025年6月に完成した後、同月中に入居している。なお、建築資金には、自己資金と銀行から借り入れた住宅ローンを充当している。
また、Aさんは、2025年中に父の経営する会社の株式(非上場株式)の配当金を受け取っており、この配当金について総合課税により配当控除の適用を受ける予定である。
Aさんの家族、2025年分の収入等および新築した住宅に関する資料は、以下のとおりである。なお、棚卸資産の評価方法について、納税地の所轄税務署長に税務上の届出はしていない。
〈Aさんとその家族に関する資料〉
Aさん (45歳) : 白色申告者
妻Bさん (43歳) : 会社員。2025年中に給与収入600万円を得ている。
長女Cさん(17歳) : 高校生。2025年中の収入はない。
〈Aさんの2025年分の収入等に関する資料〉

Ⅱ.Aさんが2025年中に受け取った非上場株式の配当金に関する事項
配当金額 : 70万円(源泉所得税控除前)
※その支払の際に、所定の所得税および復興特別所得税が源泉徴収されている。
※当該非上場株式を取得するための負債の利子はない。
Ⅲ.給与所得に関する事項
給与収入の金額 : 1,030万円
Ⅳ.退職所得に関する事項
退職手当等の収入金額 : 1,800万円
勤続期間 : 22年5カ月
※Aさんは支払者に「退職所得の受給に関する申告書」を提出している。
〈Aさんが新築した自宅(家屋)に関する資料〉
新築代金 : 2,800万円
建物 : 2階建て木造住宅、総床面積は150㎡(各階75㎡)
資金調達方法 : 自己資金760万円、住宅ローン2,040万円
住宅ローン : 2025年12月末の借入金残高2,000万円、返済期間20年
留意点 : 当該住宅は、認定長期優良住宅に該当する。また、住宅借入金等
特別控除の適用要件は、すべて満たしている。
※妻Bさんおよび長女Cさんは、Aさんと同居し、生計を一にしている。
※Aさんとその家族は、いずれも障害者および特別障害者には該当しない。
※Aさんとその家族の年齢は、いずれも2025年12月31日現在のものである。
※上記以外の条件は考慮せず、各問に従うこと。
《問58》 《設例》の〈Aさんの2025年分の収入等に関する資料〉に基づいて、Aさんの2025年分の所得税における次の①~③をそれぞれ求めなさい。〔計算過程〕を示し、〈答〉は円単位とすること。なお、③の計算上、Aさんが所得金額調整控除の適用対象者に
該当している場合、所得金額調整控除額を控除すること。
① 退職所得の金額
② 事業所得の金額
③ 総所得金額

一般社団法人金融財政事情研究会 ファイナンシャル・プランニング技能検定 1級 学科試験<応用編>【第3問】(2025年9月14日実施)抜粋
正解:① 3,950,000(円)② 3,800,000(円)③ 12,700,000(円)
《問58》
①退職所得の金額
18,000,000 円-(8,000,000 円+700,000 円×(23 年-20 年))=7,900,000 円
7,900,000 円×1/2 =3,950,000 円
退職所得=(退職金の収入金額−退職所得控除額)× 1/2
(退職所得控除額)
勤続20年まで:40万円 × 20年 = 800万円
勤続20年超:70万円 × (23年 − 20年) = 70万円 × 3年 = 210万円
合計控除額:800万円 + 210万円 = 1,010万円
勤続年数とは、原則として、退職手当等の支払者の下で退職の日まで引き続き勤務した期間(以下「勤続期間」という。)の年数(勤続期間に1年に満たない端数があるときは1年に切り上げる。)である。
(参考)No.2732 退職手当等に対する源泉徴収(国税庁Webサイト)
②事業所得の金額
(前提知識)
棚卸資産の評価方法について税務署に届出をしない場合、法定評価方法である「最終仕入原価法による原価法」が適用される。
→本問では、最終仕入原価法による評価額は520万円
年末の商品棚卸高:520万円(最終仕入原価法)
売上原価=期首棚卸高+仕入高ー期末棚卸高
期首棚卸高は0円(2025年8月に、22年5カ月勤務した会社を退職し、2025年から個人事業主として小売業を営んでいる。)→新規事業
12,000,000円-5,200,000 円=6,800,000 円(売上原価)
3,500,000円(必要経費)
14,400,000 円-300,000 円-(6,800,000 円+3,500,000 円)=3,800,000 円
③総所得金額
事業所得の金額 + 配当所得+給与所得の金額
3,800,000 円+700,000 円+8,200,000 円=12,700,000 円
給与所得控除額=195万円
給与所得の金額=1,030,000円-1,950,000円=8,350,000円
(所得金額調整控除)
本人や同一生計の親族が以下のいずれかに該当する場合、さらに最大15万円が給与所得から差し引かれる。
【対象となる条件】
- 23歳未満の扶養親族がいる。
- 本人、配偶者、または扶養親族が「特別障害者」である。
【計算式】1,000万円(※上限) – 850万円×10% = 15万円
この控除が適用される場合、給与所得は 820万円 となる。


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