今回のテーマは、「所得税の損益通算の順序」である。
それでは、「ファイナンシャル・プランニング技能検定 1級 学科試験<基礎編>(2024年1月28日実施)」で出題された過去問にチャレンジしてみよう。
ファイナンシャル・プランニング技能検定 1級 学科試験<基礎編>(2024年1月28日実施)《問27》
《問27》 所得税の損益通算に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。
1) 不動産所得の金額の計算上生じた損失の金額は、給与所得の金額と一時所得の金額がある場合、最初に一時所得の金額から控除する。
2) 総合課税の対象となる譲渡所得の金額の計算上生じた損失の金額は、事業所得の金額と一時所得の金額がある場合、最初に一時所得の金額から控除する。
3) 一時所得の金額の計算上生じた損失の金額は、不動産所得の金額と総合課税の対象となる譲渡所得の金額がある場合、最初に譲渡所得の金額から控除する。
4) 山林所得の金額の計算上生じた損失の金額は、給与所得の金額と退職所得の金額がある場合、最初に退職所得の金額から控除する。
一般社団法人金融財政事情研究会 ファイナンシャル・プランニング技能検定 1級 学科試験<基礎編>(2024年1月28日実施)
正解:2
それでは、問題を検討していこう。
なお、問題は、特に指示のない限り、2023年10月1日現在施行の法令等に基づいて出願されているが、正解及び解説は、執筆時点の法令等に基づいて執筆する。
総所得金額、退職所得金額又は山林所得金額を計算する場合において、不動産所得の金額、事業所得の金額、山林所得の金額又は譲渡所得の金額の計算上生じた損失の金額があるときは、政令で定める順序により、これを他の各種所得の金額から控除する。(所得税法69条)
・利子、配当、不動産、事業、給与及び雑の各所得の金額(経常所得の金額→経常所得グループ)
・譲渡所得の金額及び一時所得の金額(臨時所得グループ)
→損失は、まず同じグループ内で控除する。
1 誤り。
不動産所得の金額又は事業所得の金額の計算上生じた損失の金額があるときは、これをまず他の利子所得の金額、配当所得の金額、不動産所得の金額、事業所得の金額、給与所得の金額及び雑所得の金額(経常所得の金額)から控除する。(所得税法施行令198条1項1号)
2 正しい。
譲渡所得の金額の計算上生じた損失の金額があるときは、これをまず一時所得の金額から控除する。
(所得税法施行令198条1項2号)
3 誤り。
一時所得の損失は、損益通算できない。
損失があっても損益通算できない所得(以下の所得がマイナスであっても、損益通算できない)
・配当所得 ・一時所得 ・雑所得
4 誤り。
山林所得の金額の計算上生じた損失の金額があるときは、これをまず経常所得の金額から控除し、なお控除しきれない損失の金額があるときは、譲渡所得の金額及び一時所得の金額から順次控除し、なお控除しきれない損失の金額があるときは、退職所得の金額から控除する。(所得税法施行令198条1項6号)
したがって、最初に退職所得の金額から控除するのではない。
(解法のポイント)損益通算の順序は頻出論点である。しっかりと復習しておこう。
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