FP1級の過去問を解こう(2024年1月)「贈与」

贈与 FP

今回のテーマは、「贈与」である。

それでは、「ファイナンシャル・プランニング技能検定 1級 学科試験<基礎編>(2024年1月28日実施)」で出題された過去問にチャレンジしてみよう。

ファイナンシャル・プランニング技能検定 1級 学科試験<基礎編>(2024年1月28日実施)《問42》

《問42》 贈与に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。

1) 死因贈与は、遺贈に関する規定が準用されるため、全文、日付、氏名を自書し、押印した書面によって契約しなければならない。
2) 遺言の内容と死因贈与の内容に矛盾する部分がある場合、遺贈が遺言による一方的な意思表示であるのに対し、死因贈与は贈与者と受贈者との合意によってなされる契約であるため、矛盾する部分は常に死因贈与の内容が優先される。
3) 負担付贈与とは、受贈者に一定の給付をなすべき義務を負わせる贈与であり、その受贈者の負担から利益を受ける者は贈与者に限られる。
4) 書面によらない贈与は、贈与者または受贈者が一方的に解除することができるが、履行が終了した部分については解除することはできない。

一般社団法人金融財政事情研究会 ファイナンシャル・プランニング技能検定 1級 学科試験<基礎編>(2024年1月28日実施)

正解:4

それでは、問題を検討していこう。
なお、問題は、特に指示のない限り、2023年10月1日現在施行の法令等に基づいて出願されているが、正解及び解説は、執筆時点の法令等に基づくものする。

贈与契約

  • 当事者の一方(贈与者)の財産を無償で相手方に与える意思を示し、相手方(受遺者)がそれを受諾することによって成立する片務・諾成契約である。
  • 書面によらない贈与は、履行前であればいつでも解除することができる。原則として、履行後に解除することはできない。
贈与の種類
贈与の種類内容
定期贈与・定期の給付を目的とする贈与
・贈与者または受遺者が死亡した場合効力を失う。
負担付贈与・受遺者に一定の債務を負わせる贈与
・受贈者が債務を履行しない場合は贈与者は負担付贈与契約を解除できる。
死因贈与・贈与者の死亡により効力を生じる贈与
・贈与者が生きている間に受贈者との間で締結される契約である。
・その性質に反しない限り、遺贈に関する規定が準用される。(民法554条)

1 誤り。

贈与者の死亡によって効力を生ずる贈与については、その性質に反しない限り、遺贈に関する規定を準用する。(民法554条)

もっとも、遺贈は単独行為であるのに対し、死因贈与は契約である。
したがって、遺贈は単独行為であることに由来する規定(遺贈の能力(民法961条、962条)・方式(民法967条以下)等)は、死因贈与に準用されない。

遺言は、自筆証書、公正証書又は秘密証書によってしなければならない。(民法967条本文)

2 誤り。

前の遺言が後の遺言と抵触するときは、その抵触する部分については、後の遺言で前の遺言を撤回したものとみなす。(民法1023条)

したがって、遺言の内容と死因贈与の内容に矛盾する部分がある場合、新しいほうの内容が優先される。

3 誤り。

負担付贈与については、その性質に反しない限り、双務契約に関する規定を準用する。(民法553条)
「負担」は、贈与契約の付款にすぎないので、受贈者が「負担」を履行しなくても贈与契約の効力は生じる。なお、「給付」は贈与者に対するものでも、第三者に対するものでもよい

類題)負担付贈与とは、贈与者が受贈者に対して一定の債務を負担させることを条件とする贈与をいい、その受贈者の負担により利益を受ける者は贈与者に限られる。✖
2級 学科試験(2023年9月10日実施)問題 51ー2

4 正しい。

書面によらない贈与は、各当事者が解除をすることができる。ただし、履行の終わった部分については、解除することはできない。(民法550条)

類題)書面によらない贈与は、その履行の終わった部分についても、各当事者が解除をすることができる。✖
2級 学科試験(2023年9月10日実施)問題 51ー1

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