今回のテーマは、「青色申告の主な特典」である。
それでは、「ファイナンシャル・プランニング技能検定 2級 学科試験(2024年1月28日実施)」で出題された過去問にチャレンジしてみよう。
ファイナンシャル・プランニング技能検定 2級 学科試験(2024年1月28日実施)問題 35
問題 35
次のうち、青色申告者のみが適用を受けることができる所得税の青色申告の特典として、最も不適切なものはどれか。
1.棚卸資産の評価における低価法の選択
2.純損失の繰戻還付
3.雑損失の繰越控除
4.中小事業者の少額減価償却資産の取得価額の必要経費算入
一般社団法人金融財政事情研究会 ファイナンシャル・プランニング技能検定 2級 学科試験(2024年1月28日実施)
正解:3
それでは、問題を検討していこう。
なお、問題は、特に指示のない限り、2023年10月1日現在施行の法令等に基づいて出願されているが、正解及び解説は、執筆時点の法令等に基づくものする。
青色申告の主な特典
特典 | 概要 |
---|---|
棚卸資産の低価法の選択 | 棚卸資産評価方法として、低価法を選択できる。 |
30万円未満の減価償却資産の特例 | 30万円未満の減価償却資産を取得した場合、事業の用に供した年に全額必要経費に算入できる。 |
貸倒引当金の繰入れ | 貸倒引当金(一括評価・個別評価)の繰入計上ができる。 |
青色事業専従者給与 | 青色事業専従者に支払った給与を、適正額であれば、全額必要経費に算入できる。 |
青色申告特別控除 | 最高55万円(一定の要件を満たした場合、最高65万円)の控除を受けることができる。 |
純損失の繰越控除・繰戻還付 | 繰越通産をしてもなお残った純損失について、3年間繰越控除、前年への繰戻還付を受けることができる。 |
1 正しい。
棚卸資産の評価における低価法の選択ができる。
2 正しい。
純損失の繰戻還付を受けることができる。
3 誤り。
雑損失の繰越控除
雑損控除の額がその年の所得金額から控除しきれない場合、控除不足額(雑損失の金額)を、翌年以降3年間の各年の所得金額から繰越控除することができる。
この規定は、雑損失の金額の生じた年分の所得税について、確定申告書を提出し、かつ、その後において連続して確定申告書を提出している限り適用される。
なお、2023年4月1日以降、特定非常災害によって、生じた雑損失については、繰越控除期間が5年間となる。
したがって、「雑損失の繰越控除」は、青色申告の特典ではない。
4 正しい。
一定の条件を満たす中小事業者で青色申告の場合、少額減価償却資産(30万円未満の減価償却資産を取得した場合)の取得価額の必要経費算入ができる。
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