今回のテーマは、「譲渡所得(取得費)」である。
それでは、「ファイナンシャル・プランニング技能検定 1級 学科試験<基礎編>(2024年1月28日実施)」で出題された過去問にチャレンジしてみよう。
ファイナンシャル・プランニング技能検定 1級 学科試験<基礎編>(2024年1月28日実施)《問26》
《問26》 不動産を譲渡したことによる譲渡所得の金額の計算における取得費に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。なお、記載のない事項については考慮しないものとする。
1) 譲渡資産が、家屋などのように使用または期間が経過することによって価値が減少する資産である場合、取得費は、取得価額、設備費および改良費の合計額から、その減価償却費相当額を差し引いたものとされる。
2) 相続または遺贈により資産を取得し、かつ、相続税を納めた者が、当該資産を相続の開始日の翌日から相続税の申告期限の翌日以後3年以内に譲渡した場合、当該資産の本来の取得費に、その者に課された相続税額のうち、譲渡した資産に対応する部分の金額として一定の方法により計算した金額を加算することができる。
3) 個人が遺贈(包括遺贈のうち限定承認に係るものを除く)により取得した資産を譲渡した場合、受遺者が取得した時の時価が当該資産の取得費となる。
4) 取得費は、権利金を支払っていない借家権など、通常、取得費がないものとされる資産の譲渡を除き、収入金額の5%相当額とすることができる。
一般社団法人金融財政事情研究会 ファイナンシャル・プランニング技能検定 1級 学科試験<基礎編>(2024年1月28日実施)
正解:3
それでは、問題を検討していこう。
なお、問題は、特に指示のない限り、2023年10月1日現在施行の法令等に基づいて出願されているが、正解及び解説は、執筆時点の法令等に基づくものする。
1 正しい。
譲渡資産が、家屋などのように使用または期間が経過することによって価値が減少する資産である場合、取得費は、取得価額、設備費および改良費の合計額から、その減価償却費相当額を差し引いたものとされる。(所得税法38条2項)
2 正しい。
相続または遺贈により資産を取得し、かつ、相続税を納めた者が、当該資産を相続の開始日の翌日から相続税の申告期限の翌日以後3年以内に譲渡した場合、当該資産の本来の取得費に、その者に課された相続税額のうち、譲渡した資産に対応する部分の金額として一定の方法により計算した金額を加算することができる。(租税特別措置法39条)
3 誤り。
個人が遺贈(包括遺贈のうち限定承認に係るものを除く)により取得した資産を譲渡した場合、遺贈者の取得費と取得時期を引き継ぐ。(所得税法60条1項)
4 正しい。
取得費は、権利金を支払っていない借家権など、通常、取得費がないものとされる資産の譲渡を除き、収入金額の5%相当額とすることができる。(所得税基本通達38-16)
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