FP1級の過去問を解こう(2024年5月)「先物取引の損益通算」

国債 FP

今回のテーマは、「先物取引の損益通算」である。

それでは、「ファイナンシャル・プランニング技能検定 1級 学科試験<基礎編>(2024年5月26日実施)」で出題された過去問にチャレンジしてみよう。

ファイナンシャル・プランニング技能検定 1級 学科試験<基礎編>(2024年5月26日実施)《問22》

《問22》 長期国債現物の銘柄を額面1億円保有しているX社が、今後、金利の上昇により債券価格が値下がりすると考え、現在の価格で額面1億円の長期国債先物の売建てを行った。この場合、決済時の価格で長期国債現物の銘柄を売却し、長期国債先物取引を決済したときの現在の価格からみた現物と先物の損益を通算したネットの損益として、次のうち最も適切なものはどれか。
なお、長期国債現物と長期国債先物の価格は下表のとおりとし、手数料や税金等は考慮しないものとする。

1) -610万円
2) -320万円
3) -30万円
4) 290万円

一般社団法人金融財政事情研究会 ファイナンシャル・プランニング技能検定 1級 学科試験<基礎編>(2024年5月26日実施)

正解:3

それでは、問題を検討していこう。

先物取引とは
ある商品のある特定の数量について、将来の特定の時点を期限日として、あらかじめ定める価格で売買(現物決済)することを契約する取引をいう。
また、期限日前でも、その時点で定める価格で反対売買(売契約の場合、買い戻し、買契約の場合、転売)することによって差金決済することもできる。

長期国債先物取引とは

先物取引

①現在の価格で額面1億円の長期国債先物の売建てを行った。
②決済時の価格で長期国債先物取引を決済した。

①現在の価格135.00円が、②決済時の価格132.10円に下落しているので、買い戻して決済すると、
(135.00円ー132.10円)× 1億円 ÷ 100 = 290万円 となる 

現物取引

現在の価格105.50円が、決済時の価格102.30円に下落しているので、決済すると、
(102.30円ー105.50円)× 1億円 ÷ 100 = ▲320万円 となる 

現物と先物の損益を通算すると。
290万円ー320万円=▲30万円 となる。

ヘッジ取引(リスク回避目的)
現在保有しているか将来保有する予定のある現物の価格変動リスクを回避または軽減するために、先物取引において、現物と反対のポジションをとる取引で、先物取引の最も基本的かつ重要な利用方法である。
売りヘッジ
現物の値下がりに備えたヘッジである。
例えば、保有する長期国債について下落が予想される場合、長期国債先物を売っておいて、予想通り下落したときは、現物国債で発生する損失を長期国債先物の買い戻しによって得た利益で相殺しようとする取引である。
買いヘッジ
現物の値上げに備えたヘッジである。

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