FP1級の過去問を解こう(2022年5月)「株式投資と財務分析」

株式 FP

今回のテーマは、「株式投資と財務分析」である。

それでは、「ファイナンシャル・プランニング技能検定 1級 学科試験<応用編>(2022年5月22日実施)」で出題された過去問にチャレンジしてみよう。

ファイナンシャル・プランニング技能検定 1級 学科試験<応用編>(2022年9月11日実施)【第2問】

【第2問】 次の設例に基づいて、下記の各問(《問55》~《問56》)に答えなさい。

《設 例》
Aさん(46歳)は、企業の安全性を重視して、長期的なスタンスで投資したいと思っている。具体的には、製造業の上場企業X社に興味があり、下記の財務データを参考にして、投資判断を行いたいと考えている。また、投資信託についてはYファンドとZファンドの購入を考えている。Aさんは、X社株式や投資信託の購入にあたり、一般NISAを利用してみたいと考えている。
そこで、Aさんは、ファイナンシャル・プランナーのMさんに相談することにした。

※中間配当の権利確定日:2023年9月29日(金)

※上記以外の条件は考慮せず、各問に従うこと。

一般社団法人金融財政事情研究会 ファイナンシャル・プランニング技能検定 1級 学科試験<応用編>【第2問】(2022年5月22日実施)改題・抜粋

《問55》 《設例》の〈X社の財務データ等〉に基づいて、Mさんが、Aさんに対して説明した以下の文章の空欄①~④に入る最も適切な語句または数値を、解答用紙に記入しなさい。なお、計算結果は表示単位の小数点以下第3位を四捨五入し、小数点以下第2位までを解答すること。また、問題の性質上、明らかにできない部分は「□□□」で示してある。

Ⅰ 「 財務的な安全性を測る指標である流動比率は( ① )%です。流動比率が良好であっても、流動資産の大部分が棚卸資産であれば、実質的に支払能力は劣るということになります。そこで、流動資産から棚卸資産を除いた( ② )比率を用いることで、さらに厳密な分析を行います。一般に、( ② )比率は100%以上が望ましいとされています」
Ⅱ 「 財務的な安全性を測る指標である固定比率は( ③ )%、固定長期適合率は□□□%です。固定比率は100%以下が理想とされますが、固定長期適合率が100%以下であれば、通常、安全性に大きな問題があるとは考えません。なお、固定長期適合率が100%を大きく超えるようであれば、危険な状態であり、安全性に問題があると判断しますが、設備投資額が大きい製造業などであれば、水準が高めになる傾向があります」
Ⅲ 「 財務的な安全性を測る指標であるインタレスト・カバレッジ・レシオは( ④ )倍です。この数値が高いほど金利負担の支払能力が高く、財務に余裕があることを示しますが、同業他社と比較することをお勧めします。また、単年の数値だけではなく、過去のトレンドを把握することで、財務体質が悪化しているか否かを判断することが大切です」

正解:① 126.63  ② 当座 ③ 215.03  ④ 5.47

① 流動比率(%)= $\frac{流動資産}{流動負債}×100$

$\frac{680,000百万円}{537,000百万円}×100=126.629$ ∴126.63%

② 当座比率(%)=  $\frac{当座資産}{流動負債}×100$

③ 固定比率(%)= $\frac{固定資産}{自己資本}×100$
※自己資本=株主資本+その他の包括利益累計額
x社の場合、自己資本は、純資産の部合計と同額である。

$\frac{1,073,000百万円}{499,000百万円}×100=215.030$ ∴215.03%

④ インタレスト・カバレッジ・レシオ(倍)= $\frac{事業利益}{金融費用}$
※事業利益=営業利益+受取利息及び受取配当+有価証券利息+持分法による投資利益
※金融費用=支払利息および割引料+社債利息

$\frac{39,000百万円+400百万円+2,000百万円+5,100百万円}{8,500百万円}=5.470$ 
∴5.47倍

《問56》 《設例》の〈Yファンド・Zファンドの実績収益率・標準偏差・共分散〉に基づい
て、①YファンドとZファンドの相関係数、②Yファンドのシャープ・レシオ、③YファンドとZファンドをそれぞれ6:4の割合で購入した場合のポートフォリオの標準偏差を、それぞれ求めなさい。〔計算過程〕を示し、〈答〉は表示単位の小数点以下第3位を四捨五入し、小数点以下第2位までを解答すること。なお、シャープ・レシオについては、安全資産利子率を0.10%として計算すること。

正解:① 0.32 ② 0.59 ③ 13.21%

① YファンドとZファンドの相関係数=$\frac{YとZの共分散}{Yの標準偏差×Zの標準偏差}$

$\frac{80.00}{10.00×25.00}=0.32$

② Yファンドのシャープ・レシオ

シャープ・レシオ=$\frac{ポートフォリオの収益率ー安全資産利子率}{ポートフォリオの標準偏差}$

$\frac{6.00ー0.10}{10.00}=0.59$

③ ポートフォリオの標準偏差

・ポートフォリオの分散
$Yの組入比率^{2}×Yの標準偏差^{2}+Zの組入比率^{2}×Zの標準偏差^{2}$
$+(2×Yの組入比率×Zの組入比率×共分散)$

$0.6^{2}×10.00^{2}+0.4^{2}×25.00^{2}+(2×0.6×0.4×80.00)=174.40$

・ポートフォリオの標準偏差
$\sqrt{174.40}=13.206$ ∴13.21%

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