FP1級の過去問を解こう(2022年9月)「自社株の評価」

株式 FP

今回のテーマは、「自社株の評価」である。

それでは、「ファイナンシャル・プランニング技能検定 1級 学科試験<応用編>(2022年9月11日実施)」で出題された過去問にチャレンジしてみよう。

ファイナンシャル・プランニング技能検定 1級 学科試験<応用編>(2022年9月11日実施)【第5問】

【第5問】 次の設例に基づいて、《問63》に答えなさい。

《設 例》
非上場会社のX株式会社(以下、「X社」という)の代表取締役社長であるAさん(67歳)の推定相続人は、妻Bさん(65歳)、長女Cさん(40歳)、長男Dさん(35歳)の3人である。Aさんは、体調面に不安があるため、長男Dさんに事業を承継したいと考えている。
Aさんは、所有財産のうち、長男DさんにX社株式を承継し、妻Bさんに自宅と相応の金融資産を相続させたいと考えている。また、長女Cさんには住宅取得資金の援助をする予定である。
X社に関する資料は、以下のとおりである。
〈X社の概要〉
(1) 業種 設備工事業(従業員数22名)
(2) 資本金等の額 2,000万円( 発行済株式総数40,000株、すべて普通株式で1株に
つき1個の議決権を有している)
(3) 株主構成

(4) 株式の譲渡制限 あり
(5) X社株式の評価(相続税評価額)に関する資料
・X社の財産評価基本通達上の規模区分は「中会社の大」である。
・X社は、特定の評価会社には該当しない。
・比準要素の状況

※すべて1株当たりの資本金等の額を50円とした場合の金額である。
※「□□□」は、問題の性質上、伏せてある。

(6) X社の過去3年間の決算(売上高・所得金額・配当金額)の状況

(注)保険差益による非経常的な利益金額500万円が含まれている。
(7) X社の資産・負債の状況
直前期のX社の資産・負債の相続税評価額と帳簿価額は、次のとおりである。

※上記以外の条件は考慮せず、問に従うこと。

《問63》 《設例》の〈X社の概要〉に基づき、X社株式の1株当たりの類似業種比準価額を求めなさい。〔計算過程〕を示し、〈答〉は円単位とすること。また、端数処理については、1株当たりの資本金等の額を50円とした場合の株数で除した年配当金額は10銭未満を切り捨て、1株当たりの資本金等の額を50円とした場合の株数で除した年利益金額は円未満を切り捨て、各要素別比準割合および比準割合は小数点第2位未満を切り捨て、1株当たりの資本金等の額50円当たりの類似業種比準価額は10銭未満を切り捨て、X社株式の1株当たりの類似業種比準価額は円未満を切り捨てること。
なお、X社株式の類似業種比準価額の算定にあたり、複数の方法がある場合は、最も低い価額となる方法を選択するものとする。

一般社団法人金融財政事情研究会 ファイナンシャル・プランニング技能検定 1級 学科試験<応用編>【第5問】(2022年9月11日実施)改題・抜粋

正解:2,472円

・1株(50円)当たりの年配当金額
1株当たりの資本金等を50円とした場合の発行済株式総数
2,000万円÷50円=400,000株
1株(50円)当たりの年配当金額
$\frac{(200万円+160万円)÷2}{400,000株}=4.5円$

・1株(50円)当たりの年利益金額
3,980万円> {(3,980万円+(4,280万円ー500万円)}÷ 2 = 3,880万円 ∴3,880万円

$\frac{3,880万円}{400,000株}=97円$

直前期末以前1年間、直前期末以前2年間の平均額のうち、低い方を選択し、1株当たりの資本金等の額を50円とした場合の発行済株式総数で除して算出する。
なお、保険差益による非経常的な利益金額は除く

1株当たりの資本金等の額
2,000万円÷40,000株=500円

・類似業種比準価額

$400円×\dfrac{\dfrac{4.5円}{9.0円}+\dfrac{97円}{60円}+\dfrac{450円}{450円}}{3}×0.6×\frac{500円}{50円}$
$=400円×1.03×0.6×10$
$=2,472円$

※類似業種の株価は、課税時期の属する月以前3か月間の各月の平均株価、前年平均株価および以前2年間の平均株価のうち、最も低い金額とする。

※X社は中会社であるため、斟酌率は0.6である。

コメント

タイトルとURLをコピーしました