今回のテーマは、「労働者災害補償保険(以下、「労災保険」という)」である。
それでは、「ファイナンシャル・プランニング技能検定 1級 学科試験<基礎編>(2024年1月28日実施)」で出題された過去問にチャレンジしてみよう。
ファイナンシャル・プランニング技能検定 1級 学科試験<基礎編>(2024年1月28日実施)《問3》
《問3》 労働者災害補償保険(以下、「労災保険」という)に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。
1) 派遣労働者が派遣先で業務災害により負傷した場合は、派遣先事業が労災保険の適用事業とされ、派遣労働者が通勤災害により負傷した場合は、派遣元事業が労災保険の適用事業とされる。
2) 数次の請負によって行われている建設の事業において、下請け事業者に雇用される労働者が業務災害により負傷した場合、原則として、下請け事業者が営む事業が労災保険の適用事業とされる。
3) A社およびB社に雇用される複数事業労働者が、脳・心臓疾患や精神障害を発症した場合、A社またはB社の業務上の負荷を個別に評価して業務災害に当たらないときは、両社の業務上の負荷を合わせて総合的に評価して業務災害に当たるかどうか判断される。
4) C社およびD社に雇用される複数事業労働者が、C社で就業中に業務災害により負傷した場合、C社のみの賃金額に基づき算定された給付基礎日額を基礎として保険給付が行われる。
一般社団法人金融財政事情研究会 ファイナンシャル・プランニング技能検定 1級 学科試験<基礎編>(2024年1月28日実施)
正解:3
それでは、問題を検討していこう。
なお、問題は、特に指示のない限り、2023年10月1日現在施行の法令等に基づいて出願されているが、正解及び解説は、執筆時点の法令等に基づくものする。
1 誤り。
派遣労働者は、派遣元事業を適用事業所とする労災保険が適用される。
(類題)派遣労働者が、派遣先で生じた業務災害により療養補償給付を受けようとする場合、派遣先の事業を労働者災害補償保険の適用事業として、療養補償給付に係る請求書に派遣先事業主の証明を受ける必要がある。✖
1級 学科試験<基礎編>(2023年1月22日実施)問2ー3
2 誤り。
数次の請負によって行われている建設の事業において、下請け事業者に雇用される労働者が業務災害により負傷した場合、原則として、元請け事業者が営む事業が労災保険の適用事業とされる。
3 正しい。
A社およびB社に雇用される複数事業労働者が、脳・心臓疾患や精神障害を発症した場合、A社またはB社の業務上の負荷を個別に評価して業務災害に当たらないときは、両社の業務上の負荷を合わせて総合的に評価して業務災害に当たるかどうか判断される。
4 誤り。
複数事業労働者の場合は、それぞれの勤務先ごとに計算した給付基礎日額に相当する額を合算した額が給付基礎日額となる。
C社およびD社に雇用される複数事業労働者が、C社で就業中に業務災害により負傷した場合でも、C社およびD社それぞれの賃金額に基づき算定された給付基礎日額を合算した額を基礎として保険給付が行われる。
(類題)複数の会社に勤務する複数事業労働者の休業補償給付の額は、原則として、業務災害が発生した勤務先の賃金に基づいて計算した給付基礎日額の100 分の60 に相当する額となる。✖
1級 学科試験<基礎編>(2023年1月22日実施)問2ー4
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