今回のテーマは、「法人契約の生命保険」である。
それでは、「ファイナンシャル・プランニング技能検定 1級 学科試験<基礎編>(2024年9月8日実施)」で出題された過去問にチャレンジしてみよう。
ファイナンシャル・プランニング技能検定 1級 学科試験<基礎編>(2024年9月8日実施)《問12》
《問12》 X株式会社(以下、「X社」という)の社長であるAさんは、現在65歳であるが、2年後(2026年9月末)に勇退しようと考えている。その際、X社が加入している以下の定期保険を解約し、退職金の一部として受け取りたいと考えている。以下の定期保険を解約した場合の経理処理として、次のうち最も適切なものはどれか。
一般社団法人 金融財政事情研究会 ファイナンシャル・プランニング技能検定 1級 学科試験<基礎編>(2024年9月8日実施)
正解:2
それでは、設問を検討していこう。
法人契約の定期保険及び第三分野保険(医療保険、がん保険、民間の介護保険など)については、最高解約返戻率に応じて、経理処理の方法が2019年7月8日以降の契約について変更された。
最高解約返戻率 | 資産計上期間 | 同期間に支払った保険料の資産計上割合 | 同期間に支払った保険料の損金計上割合 | 資産計上した保険料の取崩し期間(損金算入) |
---|---|---|---|---|
50%以下 | なし | なし | 全額 | なし |
50%超70%以下 | 保険期間の40%相当期間経過まで | 40% | 60% | 保険期間の75%相当の期間経過後から保険期間終了まで |
70%超85%以下 | 60% | 40% | ||
85%超 | 原則、最高解約返戻率となる期間まで | ・当初から10年目まで・・最高解約返戻率×90% ・11年目以降・・最高解約返戻率×70% | 100%ー資産計上割合 | 解約返戻金が最も高額になる期間から保険期間終了まで |
解約返戻率・・ある時期の解約返戻金相当額をそれまでに支払った保険料の合計額で除した割合のこと。
設問の「最高解約返戻率」は77%なので、「70%超85%以下」の区分に該当し、保険期間の40%相当期間経過まで、同期間に支払った保険料の資産計上割合は60%となる。
したがって、3,150万円×60%=1,890万円 が資産計上額となる。
解約した場合の経理処理
※保険料支払時に支払った保険料を資産計上した場合
受け取った解約返戻金等は「現金・預金」等で資産計上し、保険料支払時に資産計上した「前払保険料」を取り崩すことで差額を益金または損金に算入する。(「雑収入」または「雑損失」として処理する。)
設問では、2,400万円 ー 1,890万円 =510万円を雑収入として益金に算入する。
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