FP1級の過去問を解こう(2024年9月)「所得税の雑損控除」

FP

今回のテーマは、「所得税の雑損控除」である。

それでは、「ファイナンシャル・プランニング技能検定 1級 学科試験<基礎編>(2024年9月8日実施)」で出題された過去問にチャレンジしてみよう。

ファイナンシャル・プランニング技能検定 1級 学科試験<基礎編>(2024年9月8日実施)《問27》

《問27》 所得税の雑損控除に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。なお、記載のない事項については考慮しないものとする。

1) 会社役員である納税者が所有する時価200万円の絵画が盗難に遭って損失が生じた場合、当該納税者は、確定申告をすることにより、雑損控除の適用を受けることができる。
2) 個人事業主である納税者が所有する棚卸資産が災害により損壊して損失が生じた場合、当該納税者は、その損失の金額の多寡にかかわらず、雑損控除の適用を受けることができない。
3) 雑損控除の控除額は、災害関連支出がない場合、損害金額(保険金等により補塡される金額を除く)からその年分の総所得金額等の合計額の5%相当額を控除して計算される。
4) 青色申告者が雑損控除の適用を受け、その控除額がその年分の総所得金額等から控除しきれない場合、控除しきれない額を前年分の所得に繰り戻して、前年分の所得税額の還付を請求することができる。

一般社団法人 金融財政事情研究会 ファイナンシャル・プランニング技能検定 1級 学科試験<基礎編>(2024年9月8日実施)

正解:2

それでは、各肢を検討していこう。

1 誤り。

雑損控除の対象になる資産の要件
損害を受けた資産が次のいずれにも当てはまること。
(1)資産の所有者が次のいずれかであること。
イ 納税者
ロ 納税者と生計を一にする配偶者やその他の親族で、その年の総所得金額等が48万円以下(令和元年分以前は38万円以下)の者
(2)棚卸資産もしくは事業用固定資産等または「生活に通常必要でない資産」のいずれにも該当しない資産であること。
生活に通常必要でない資産」とは、例えば、別荘など趣味、娯楽、保養または鑑賞の目的で保有する不動産(平成26年4月1日以後は同じ目的で保有する不動産以外の資産(ゴルフ会員権など)も含まれます。)や貴金属(製品)や書画、骨董など1個または1組の価額が30万円超のものなど生活に通常必要でない動産をいう。

2 正しい。

肢1の解説を参照。

3 誤り。

雑損控除の金額
次の(1)と(2)のうちいずれか多い方の金額である。
(1) (損害金額+災害等関連支出の金額-保険金等の額)-(総所得金額等)×10%
(2) (災害関連支出の金額-保険金等の額)-5万円
「損害金額」とは、損害を受けた時の直前におけるその資産の時価を基にして計算した損害の額である。

4 誤り。

損失額が大きくてその年の所得金額から控除しきれない場合には、翌年以後3年間(東日本大震災又は令和5年4月1日以後に発生する特定非常災害により生じた損失額については、5年間)に繰り越して各年の所得金額から控除することができる(雑損控除は他の所得控除に先だって控除することとなっている。)。

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