FP1級の過去問を解こう(2025年9月)「小規模宅地等についての相続税の課税価格の計算の特例」

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今回のテーマは、「小規模宅地等についての相続税の課税価格の計算の特例」である。

それでは、「ファイナンシャル・プランニング技能検定 1級 学科試験<応用編>(2025年9月14日実施)」で出題された過去問にチャレンジしてみよう。

ファイナンシャル・プランニング技能検定 1級 学科試験<応用編>(2025年9月14日実施)【第5問】

【第5問】 次の設例に基づいて、《問63》に答えなさい。
《設 例》
個人で不動産賃貸業を営むAさん(75歳)は、自宅で妻Bさん(70歳)と2人で暮らしている。Aさんは、所有する不動産について、自宅は妻Bさんに、賃貸マンション甲・乙は不動産業を手伝ってくれている長男Cさん(45歳)に相続させたいと考えている。一方、現預金については、昨年、妻Bさんとともに長女Dさん(42歳)に対してマンションの購入資金を贈与していることも考慮しつつ、各人の相続税の納税額を踏まえて相続させることや、孫への教育資金の贈与も検討している。
Aさんに関する資料および長女Dさんへの贈与に関する資料は、以下のとおりである。なお、問題の性質上、明らかにできない部分は「□□□」で示してある。

〈長女Dさんへの贈与に関する資料〉
長女Dさんは、2024年4月に、住宅取得資金として、Aさんから現金4,000万円、
妻Bさんから現金3,000万円の贈与を受けてマンションを購入し、同年中に入居した。
当該マンションは、「直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の贈与税の非課税」(以下、「本特例」という)における省エネ等住宅に該当する。長女Dさんは、Aさんから贈与を受けた住宅取得資金について、非課税限度額まで本特例の適用を受けるとともに、Aさんと妻Bさんから受けたいずれの贈与についても、初めて相続時精算課税の適用を受け、納期限までに所定の贈与税額を納付した。
なお、長女Dさんは、Aさんから受けた住宅取得資金の贈与について本特例の適用を受ける前に、本特例の適用を受けたことはない。
※上記以外の条件は考慮せず、各問に従うこと。


《問63》 仮に、Aさんが現時点(2025年9月14日)において死亡し、《設例》の〈Aさんに関する資料〉に基づき、相続税額の計算上、相続税の課税価格の合計額が最も小さくなるように「小規模宅地等についての相続税の課税価格の計算の特例」の適用を受けた場合、当該特例により減額される金額を求めなさい(計算過程の記載は不要)。〈答〉は万円単位とすること。
なお、自宅の敷地は特定居住用宅地等に該当し、賃貸マンション甲・乙の敷地はいずれも貸付事業用宅地等に該当するものとする。

一般社団法人金融財政事情研究会 ファイナンシャル・プランニング技能検定 1級 学科試験<応用編>【第5問】(2025年9月14日実施)抜粋

正解:3,680(万円)

《問63》

区分内容限度面積減額割合
特定居住用宅地等被相続人の自宅として使われていた土地330㎡80%
特定事業用宅地等相続人の事業(貸付事業を除く)に使われていた土地400㎡80%
貸付事業用宅地等被相続人が賃貸などに使っていた土地200㎡50%

(問題の整理)
自宅敷地(特定居住用宅地等)      231㎡ 4,000万円 
賃貸マンション甲敷地(貸付事業用宅地等) 410㎡ □□□万円 借地権割合60% 借家権割合30% 賃借割合:100%
賃貸マンション乙敷地(貸付事業用宅地等) 540㎡ □□□万円 借地権割合70% 借家権割合30% 賃借割合:100%

賃貸マンション敷地の相続税評価額=自用地価額×(1-借地権割合×借家権割合×賃貸割合)

賃貸マンション(甲)
8,000万円×(1-60%×30%×100%)
8,000万円×(1-0.6×0.3×1)
8,000万円×0.82=6,560万円
賃貸マンション(乙)
1億800万円×(1-70%×30%×100%)
1億800万円×(1-0.7×0.3×1)
1億800万円×0.79=8,532万円

※%はいったん小数値に戻して計算する。

特定居住用宅地等(330㎡まで80%減額)と特定事業用宅地等(400㎡まで80%減額)は、完全併用でき、これらを優先的に適用する。これらと貸付事業用宅地等は完全併用できないため適用面積の調整が必要となる。

貸付事業用宅地等の限度面積=200 −(特定事業用宅地等の面積×$\frac{200}{400}$)-(特定居住用宅地等の面積×$\frac{200}{330}$)

なお、今回のケースは、特定居住用宅地等を優先的に適用して、次に㎡あたりの単価が高い賃貸マンション甲敷地に適用した方が減額される額は大きい。(確認)
なぜなら、

自宅敷地      231㎡ 4,000万円 →$\frac{4,000万円}{231㎡}$=17.3万円/㎡
賃貸マンション甲敷地 410㎡ 6,560万円 →$\frac{6,560万円}{410㎡}$=16万円/㎡
賃貸マンション乙敷地 540㎡ 8,532万円 →$\frac{8,532万円}{540㎡}$=15.8万円/㎡

貸付事業用宅地等の限度面積 = 200 − (特定居住用宅地等の面積×($\frac{200}{330}$)
200-231×$\frac{200}{330}$
200-140=60㎡

特定居住用宅地等:231㎡
貸付事業用宅地等:60㎡

特定居住用宅地等は330㎡までが80%減額される。
330㎡>231㎡なので、
減額分=4000万円×80%=3,200万円①
貸付事業用宅地等は200㎡までが50%減額される。

200㎡>60㎡だが、全体で410㎡なので按分が必要となる。
減額分=6,560万円×$\frac{60㎡}{410㎡}$×50%=480万円②
①+②=3,680万円

 (答え)3,680(万円)


(解法のポイント)

  • 特定居住用宅地等と貸付事業用宅地等は併用するためには面積調整が必要となる。
  • 特定居住用宅地等を優先的に適用する。(㎡あたりの単価を計算)
  • 貸付事業用宅地等の評価額を忘れずに計算する。

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