今回のテーマは、「わが国の預金保険制度」である。
それでは、「ファイナンシャル・プランニング技能検定 1級 学科試験<基礎編>(2026年1月25日実施)」で出題された過去問にチャレンジしてみよう。
ファイナンシャル・プランニング技能検定 1級 学科試験<基礎編>(2026年1月25日実施)《問24》
《問24》 わが国の預金保険制度に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。
1) 元本補塡契約が付された金銭信託は、その金額の多寡にかかわらず、全額が預金保険制度の保護の対象となる。
2) 同一の金融機関において、個人名義で事業用の口座と事業用以外の口座を有する個人事業主がそれぞれの口座に預け入れた普通預金は、口座ごとに元本1,000万円までと当該金融機関の破綻日までの利息の額が預金保険制度の保護の対象となる。
3) 日本国内に本店のある銀行の海外支店や外国銀行の在日支店に預け入れた預金は、その預金の種類や金額の多寡にかかわらず、預金保険制度の保護の対象とならない。
4) 預金保険制度で保護される預金等の額の算定にあたり、単に名義を借りたにすぎない他人名義預金については、名義の借主が破綻金融機関に有する他の預金等と合算される。
答えを確認する
正解は 3です。
【前提知識】預金保険制度の保護範囲
| 預金等の種類 | 保護の範囲 |
| 決済用預金(利息ゼロの普通預金など) | 全額 |
| 一般預金等(定期預金、利息のつく普通預金、元本補填付金銭信託など) | 合算して元本1,000万円までとその利息 |
| 外貨預金・譲渡性預金(CD) | 保護対象外 |
それでは、各肢を検討していこう。
1 誤り。
元本補填契約(銀行が元本を保証する契約)がついた金銭信託は、預金保険制度の対象に含まれるが、その保護範囲は以下の通りである。
- 保護の対象: 預金保険制度の対象。
- 保護される金額: 合算して元本1,000万円までとその利息等。
- 全額保護にならない理由: 「全額保護」されるのは、無利息・即時支払可能・決済サービス提供可能という3条件を満たす「決済用預金」(当座預金や利息のつかない普通預金など)に限られるため。
2 誤り。
個人事業主の「名寄せ」ルール
預金保険制度では、一人の預金者が同一の金融機関に複数の口座を持っている場合、それらをすべて合算して計算する。これを「名寄せ」と呼ぶ。
- 合算の原則: 「事業用」か「プライベート用」かという目的の違いに関わらず、同一人物の口座であればすべて合算される。
- 保護の限度額: 合算した元本1,000万円までとその利息が保護の対象。「口座ごと」に1,000万円ではない。
注意すべき例外:家族や法人の場合
試験や実務で混同しやすいのが、家族名義や法人名義との関係である。
| 区分 | 保護の単位 | 判定のポイント |
| 個人事業主 | 本人と合算 | 事業用屋号(例:田中商店 田中太郎)が付いていても、個人と同一人物とみなされる。 |
| 家族(妻・子) | 別々に計算 | 家族であっても、名義人が異なればそれぞれ1,000万円まで保護される。 |
| 法人(会社) | 別々に計算 | 「法人名義」の預金は「個人名義」とは別にカウントされる。 |
3 正しい。
預金保険制度の「場所」と「主体」
預金保険制度の対象となるかどうかは、「どこの国の法律に基づいて設立された銀行か」と「どこの店舗に預けているか」で決まる。
1. 日本の銀行の「海外支店」
- 理由: 預金保険制度は日本国内の店舗を対象としています。海外支店にある預金は、現地の法律の管轄(または保護対象外)となるため、預金保険制度の対象にはならない。
2. 外国銀行の「在日支店」
- 理由: 日本国内に店舗があっても、その銀行自体が外国の法律に基づいて設立された「外国銀行」である場合、預金保険制度には加入していない。
まとめ:対象外となる主なケース
以下の3つをセットで覚えておくと、試験や実務での判断がスムーズになる。
- 海外の支店: 日本の銀行であっても、海外にある店舗の預金。
- 外国銀行の在日支店: 日本国内にあっても、外銀(シティバンク等)の店舗。
- 外貨預金: 日本国内の銀行であっても、米ドルやユーロなどの外貨建て預金(場所に関わらず対象外)。
4 誤り。
他人名義預金の「名寄せ」ルール
預金保険制度では、形式的な「名義」よりも「実質的に誰の財産か」という事実が優先される。
- 実質的な所有者の預金として計算: 単に名前を借りただけの「他人名義預金(借名預金)」は、名義人ではなく、「名義の借主(実質的な所有者)」の預金として扱われる。
- 名寄せの実施: したがって、名義の借主がその金融機関に自分名義の口座を別に持っている場合、それらはすべて合算(名寄せ)され、合計で元本1,000万円までとその利息が保護の対象となる。
(解法のポイント)
金銭信託に「元本補填」がついている場合、それは「一般預金」と同じカテゴリーとして扱われる。


コメント