今回のテーマは、「公的年金制度の障害給付および遺族給付」である。
それでは、「ファイナンシャル・プランニング技能検定 2級 学科試験(2024年1月28日実施)」で出題された過去問にチャレンジしてみよう。
ファイナンシャル・プランニング技能検定 2級 学科試験(2024年1月28日実施)問題 5
問題 5
公的年金制度の障害給付および遺族給付に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。
1.障害等級1級または2級に該当する程度の障害の状態にある障害厚生年金の受給権者が、所定の要件を満たす配偶者を有する場合、その受給権者に支給される障害厚生年金には加給年金額が加算される。
2.障害厚生年金の額を計算する際に、その計算の基礎となる被保険者期間の月数が300月に満たない場合、300月として計算する。
3.遺族基礎年金を受給することができる遺族は、国民年金の被保険者等の死亡の当時、その者によって生計を維持され、かつ、所定の要件を満たす「子のある配偶者」または「子」である。
4.遺族厚生年金の受給権者が、65歳到達日に老齢厚生年金の受給権を取得した場合、65歳以降、その者の選択によりいずれか一方の年金が支給され、他方の年金は支給停止となる。
一般社団法人金融財政事情研究会 ファイナンシャル・プランニング技能検定 2級 学科試験(2024年1月28日実施)
正解:4
それでは、各肢を検討していこう。
2024年1月実施の問題は、特に指示のない限り、2023年10月1日現在施行されている法令等により出題されているが、正解及び解説は、本稿執筆現在施行されている法令等に基づくものとする。
1 正しい。
障害厚生年金
障害等級3級:
報酬比例部分のみ
障害等級2級:
報酬比例部分+配偶者の加給年金額(特別加算あり)
障害等級1級:
報酬比例部分×1.25+配偶者の加給年金額(特別加算あり)
※報酬比例部分の計算は、老齢厚生年金の報酬比例部分に準ずる
2 正しい。
障害厚生年金の額を計算する際に、その計算の基礎となる被保険者期間の月数が300月に満たない場合、300月として計算する。
3 正しい。
遺族基礎年金を受給することができる遺族は、国民年金の被保険者等の死亡の当時、その者によって生計を維持され、かつ、所定の要件を満たす「子のある配偶者」または「子」である。
※子とは18歳になった年度の3月31日までにある者、または20歳未満で障害年金の障害等級1級または2級の状態にある者
4 誤り。
遺族厚生年金を受給している配偶者が65歳になって自分の老齢厚生年金を受給できるようになった場合、自分の「老齢基礎年金+老齢厚生年金」を受け取ることが優先される。
ただし、老齢厚生年金の額より、遺族厚生年金の額が多い場合、その差額が遺族厚生年金として支給される。
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