今回のテーマは、「所得税における寡婦控除」である。
それでは、「ファイナンシャル・プランニング技能検定 2級 学科試験(2024年1月28日実施)」で出題された過去問にチャレンジしてみよう。
ファイナンシャル・プランニング技能検定 2級 学科試験(2024年1月28日実施)問題 34
問題 34
所得税における寡婦控除に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。なお、記載されたもの以外の要件はすべて満たしているものとする。
1.夫と死別した後に婚姻をしていない納税者は、扶養親族を有していない場合であっても、寡婦控除の適用を受けることができる。
2.夫と離婚した後に婚姻をしていない納税者は、納税者と事実上婚姻関係と同様の事情にあると認められる一定の者がいる場合であっても、寡婦控除の適用を受けることができる。
3.納税者の合計所得金額が500万円を超えている場合、寡婦控除の適用を受けることはできない。
4.寡婦控除とひとり親控除は、重複して適用を受けることができない。
一般社団法人金融財政事情研究会 ファイナンシャル・プランニング技能検定 2級 学科試験(2024年1月28日実施)
正解:2
それでは、各肢を検討していこう。
2024年1月実施の問題は、特に指示のない限り、2023年10月1日現在施行されている法令等により出題されているが、正解及び解説は、本稿執筆現在施行されている法令等に基づくものとする。
寡婦控除の対象となる人の範囲(令和2年分以後)
寡婦とは、原則としてその年の12月31日の現況で、「ひとり親」に該当せず、次のいずれかに当てはまる人です。納税者と事実上婚姻関係と同様の事情にあると認められる一定の人がいる場合は対象となりません。
(1)夫と離婚した後婚姻をしておらず、扶養親族がいる人で、合計所得金額が500万円以下の人
(2)夫と死別した後婚姻をしていない人または夫の生死が明らかでない一定の人で、合計所得金額が500万円以下の人
なお、この場合は、扶養親族の要件はありません。
(注)「夫」とは、民法上の婚姻関係にある人をいいます。
(参考)国税庁Webサイト・No.1170 寡婦控除
1 正しい。
夫と死別した後に婚姻をしていない納税者は、扶養親族を有していない場合であっても、寡婦控除の適用を受けることができる。
2 誤り。
夫と離婚した後に婚姻をしていない納税者であっても、納税者と事実上婚姻関係と同様の事情にあると認められる一定の者がいる場合には、寡婦控除の適用を受けることはできない。
3 正しい。
納税者の合計所得金額が500万円を超えている場合、寡婦控除の適用を受けることはできない。
4 正しい。
寡婦控除とひとり親控除は、重複して適用を受けることができない。
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