FP2級の過去問を解こう(2024年5月)「相続の承認および放棄」

親子 FP

今回のテーマは、「民法に規定する相続の承認および放棄」である。

それでは、「ファイナンシャル・プランニング技能検定 2級 学科試験(2024年5月26日実施)」で出題された過去問にチャレンジしてみよう。

ファイナンシャル・プランニング技能検定 2級 学科試験(2024年5月26日実施)問題55

問題 55
民法に規定する相続の承認および放棄に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。
1.契約者(=保険料負担者)および被保険者を被相続人とする生命保険契約の死亡保険金受取人に指定されていた相続人が、被相続人の死亡により死亡保険金を受け取った場合、その相続について単純承認をしたものとみなされる。
2.相続人が相続の単純承認をした場合、原則として、被相続人のすべての権利義務を承継する。
3.相続の放棄をしようとする者は、原則として、相続の開始があったことを知った時から3ヵ月以内に、家庭裁判所に相続の放棄をする旨を申述しなければならない。
4.被相続人の子が相続の放棄をした場合、その相続の放棄をした者の子(被相続人の孫)は、代襲相続人とならない。

一般社団法人 金融財政事情研究会 ファイナンシャル・プランニング技能検定 2級 学科試験(2024年5月26日実施)

正解:1

それでは、問題を検討していこう。

1 誤り。

契約者(=保険料負担者)および被保険者を被相続人とする生命保険契約の死亡保険金受取人に指定されていた相続人が、被相続人の死亡により死亡保険金を受け取った場合、その相続について単純承認をしたものとみなされない。

死亡保険金は、本来の相続財産ではなく、受取人の固有財産である。

(法定単純承認)
第921条 次に掲げる場合には、相続人は、単純承認をしたものとみなす。
一 相続人が相続財産の全部又は一部を処分したとき。ただし、保存行為及び第六百二条に定める期間を超えない賃貸をすることは、この限りでない。
二 相続人が第九百十五条第一項の期間内に限定承認又は相続の放棄をしなかったとき。
三 相続人が、限定承認又は相続の放棄をした後であっても、相続財産の全部若しくは一部を隠匿し、私にこれを消費し、又は悪意でこれを相続財産の目録中に記載しなかったとき。ただし、その相続人が相続の放棄をしたことによって相続人となった者が相続の承認をした後は、この限りでない。
(民法・e-Gov法令検索)

2 正しい。

相続人は、単純承認をしたときは、無限に被相続人の権利義務を承継する。(民法920条)

3 正しい。

相続人は、自己のために相続の開始があったことを知った時から3か月以内に、相続について、単純若しくは限定の承認又は放棄をしなければならない。(民法915条1項本文)

4 正しい。

相続の放棄をした者は、その相続に関しては、初めから相続人とならなかったものとみなす。(民法939条)

したがって、被相続人の子が相続の放棄をした場合、その相続の放棄をした者の子(被相続人の孫)は、代襲相続人とならない。

なお、欠格廃除の場合は、代襲相続が認められる。

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