今回のテーマは、「生命保険の基本的な仕組み」である。
それでは、「ファイナンシャル・プランニング技能検定 2級 学科試験(2025年5月25日実施)」で出題された過去問にチャレンジしてみよう。
問題 12
生命保険の基本的な仕組みに関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。
1.生命保険契約に基づき支払われる契約者配当金は、配当所得として所得税の課税対象となる。
2.生命保険会社が予定利率を引き下げた場合、通常、その後の終身保険の新規契約の保険料は安くなる。
3.生命保険会社が予定事業費率を引き下げた場合、通常、その後の終身保険の新規契約の保険料は安くなる。
4.保険料は、保険会社が保険契約を維持・管理していくために必要な経費等の財源となる純保険料と、将来の保険金等の支払いの財源となる付加保険料で構成されている。
正解:3
それでは、各肢を検討していこう。
1 誤り。
生命保険契約に基づく契約者配当金の課税関係は、受け取り方によって異なる。
- 契約期間中に受け取る場合: 所得税の課税対象にはならず、生命保険料控除の計算時に控除額として扱われる。
- 保険金とともに受け取る場合: 一時所得として所得税の課税対象になる。
- 相続による受け取り: 相続税の課税対象となる場合がある。
契約者配当金(けいやくしゃはいとうきん)
生命保険事業から発生した利益(剰余)は、契約者に配当として還元され、また、保険事業に必要な内部留保にも配分されます。
(第一生命のWebサイトより引用)
2 誤り。
予定利率とは、保険会社が契約者に運用益をあらかじめ見込んで設定する利率である。
予定利率が下がるということは、「将来の運用益が少なくなる」ことを意味するため、保険料は高くなる。
3 正しい。
予定事業費率とは、保険会社が事務費・人件費などにあてる費用を保険料に組み込む際の割合である。
これが下がると、保険料に上乗せされる部分が減るため、新しい保険契約の保険料は安くなる。
4 誤り。
この選択肢は用語が逆である。
- 純保険料:保険金の支払いに充てる部分(保障の本体)
- 付加保険料:保険会社の事業費(経費など)に充てる部分
正しくは「保険料は、将来の保険金の支払いの財源となる純保険料と、保険会社が維持・管理するための費用となる付加保険料から構成されている」
となる。
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