今回のテーマは、「登録免許税」である。
それでは、「ファイナンシャル・プランニング技能検定 1級 学科試験<基礎編>(2024年1月28日実施)」で出題された過去問にチャレンジしてみよう。
ファイナンシャル・プランニング技能検定 1級 学科試験<基礎編>(2024年1月28日実施)《問39》
《問39》 登録免許税に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。
1) 新築した住宅用家屋の所有権の保存登記に係る登録免許税について「住宅用家屋の所有権の保存登記の税率の軽減」の適用を受けるためには、登記申請書に所定の証明書を添付のうえ、当該家屋の新築後1年以内に登記を受ける必要がある。
2) 贈与により取得した住宅用家屋の所有権の移転登記に係る登録免許税については、所定の要件を満たせば、「住宅用家屋の所有権の移転登記の税率の軽減」による税率の軽減措置が適用される。
3) 住宅用家屋の新築をするための借入金を担保する抵当権の設定登記に係る登録免許税の税率は、原則として0.4%であるが、「住宅取得資金の貸付け等に係る抵当権の設定登記の税率の軽減」の適用を受けることにより、その税率が0.1%に軽減される。
4)「住宅取得資金の貸付け等に係る抵当権の設定登記の税率の軽減」は、自己の居住の用に供する住宅用家屋の取得が対象となり、第三者への貸付の用に供する住宅用家屋の取得は対象とならない。
一般社団法人金融財政事情研究会 ファイナンシャル・プランニング技能検定 1級 学科試験<基礎編>(2024年1月28日実施)
正解:2
それでは、問題を検討していこう。
なお、問題は、特に指示のない限り、2023年10月1日現在施行の法令等に基づいて出願されているが、正解及び解説は、執筆時点の法令等に基づくものする。
土地の売買や住宅用家屋の所有権の保存登記等に係る登録免許税の税率の軽減措置
1 土地の売買による所有権の移転登記等の税率の軽減(租税特別措置法第72条第1項)
登記の種類 | 本 則 | 軽減措置 (適用期限:R8.3.31まで) |
① 所有権の移転の登記 | 2.0 % | 1.5 % |
② 所有権の信託の登記 | 0.4 % | 0.3 % |
1の登録免許税の税率の軽減措置の適用期限は、令和8年3月31日までとなっている。
2 住宅用家屋の所有権の保存登記等の税率の軽減(租税特別措置法第72条の2、第73条)
登記の種類 | 本 則 | 軽減措置 (適用期限:R9.3.31まで) |
① 所有権の保存の登記 | 0.4 % | 0.15 % |
② 所有権の移転の登記 | 2.0 % | 0.3 % |
※ 特定の住宅用家屋の所有権の保存登記等については、さらに税率が軽減される。
3 住宅取得資金の貸付け等に係る抵当権の設定登記の税率の軽減(租税特別措置法第75条)
登記の種類 | 本 則 | 軽減措置 (適用期限:R9.3.31まで) |
抵当権の設定の登記 | 0.4 % | 0.1 % |
上記2及び3の軽減措置の適用を受けるためには、登記の申請書に住宅用家屋の所在地の市区町村長の証明書(住宅用家屋の床面積が50㎡以上であること等の一定の要件を満たす旨の証明)を添付の上、その住宅用家屋の新築又は取得後1年以内に登記を受けなければならない。
令和6年度の税制改正により、上記2及び3の登録免許税の税率の軽減措置について、その適用期限が令和9年3月31日まで3年延長された。
1 正しい。
新築した住宅用家屋の所有権の保存登記に係る登録免許税について「住宅用家屋の所有権の保存登記の税率の軽減」の適用を受けるためには、登記申請書に所定の証明書を添付のうえ、当該家屋の新築後1年以内に登記を受ける必要がある。
2 誤り。
「住宅用家屋の所有権の移転登記の税率の軽減」による税率の軽減措置が適用されるためには、売買または競売により住宅を取得した場合に限られる。
3 正しい。
住宅用家屋の新築をするための借入金を担保する抵当権の設定登記に係る登録免許税の税率は、原則として0.4%であるが、「住宅取得資金の貸付け等に係る抵当権の設定登記の税率の軽減」の適用を受けることにより、その税率が0.1%に軽減される。
4 正しい。
住宅取得資金の貸付け等に係る抵当権の設定登記の税率の軽減」は、自己の居住の用に供する住宅用家屋の取得が対象となり、第三者への貸付の用に供する住宅用家屋の取得は対象とならない。
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