今回のテーマは、「借地借家法」である。
それでは、「ファイナンシャル・プランニング技能検定 2級 学科試験(2024年5月26日実施)」で出題された過去問にチャレンジしてみよう。
ファイナンシャル・プランニング技能検定 2級 学科試験(2024年5月26日実施)問題43
問題 43
借地借家法に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。なお、本問においては、同法第22条の借地権を一般定期借地権といい、第22条から第24条の定期借地権等以外の借地権を普通借地権という。また、記載のない特約については考慮しないものとする。
1.普通借地権の存続期間は30年とされており、契約でこれより長い期間を定めることはできない。
2.普通借地権の存続期間が満了する場合において、借地権者が契約の更新を請求し、借地権設定者が遅滞なく異議を述べなかったときは、借地上に建物があるかどうかにかかわらず、従前の契約と同一の条件で契約を更新したものとみなされる。
3.事業の用に供する建物の所有を目的として、一般定期借地権を設定することはできない。
4.一般定期借地権において、契約の更新および建物の築造による存続期間の延長がなく、建物等の買取りの請求をしないこととする旨を定める特約は、公正証書による等書面(電磁的記録による場合を含む)によってしなければならない。
一般社団法人 金融財政事情研究会 ファイナンシャル・プランニング技能検定 2級 学科試験(2024年5月26日実施)
正解:4
なお、問題については、特に指示のない限り、2023年10月1日現在施行されている法令等により出題されているが、本稿の正解及び解説は執筆時点で施行されている法令等に基づくものとする。
それでは、各肢を検討していこう。
1 誤り。
普通借地権は、存続期間は30年以上となっている。
期間の定めのない場合や30年より短い期間を定めた場合、存続期間は30年である。
地主と借地人が合意すれば、30年を超える期間を定めることも可能である。
(類題)普通借地権の設定契約において、期間の定めがないときは、存続期間は30年とされる。〇
2級 学科試験(2023年9月10日実施)問題 44ー1
2 誤り。
普通借地権とは
建物の所有を目的とする借地権で、定期借地権以外のものをいう。借地上の建物の用途には居住用、事業用の制限はない。なお、存続期間は30年以上で定める。
なお、期間満了時に建物がある場合は、原則、同一条件で更新される。(借地借家法5条)
(類題)普通借地権の存続期間が満了した時点で借地上に建物が存在しない場合は、借地権者が契約の更新を請求しても、従前の契約と同一の条件で契約が更新されたものとはみなされない。〇
2級 学科試験(2023年9月10日実施)問題 44ー2
3 誤り。
一般定期借地権は、利用目的に制限はない。
定期借地権とは
契約の更新がない借地権である。一般定期借地権、事業用定期借地権等、建物譲渡特約付借地権の3種類がある。
一般定期借地権 | 事業用定期借地権等 | 建物譲渡特約付借地権 | |
---|---|---|---|
存続期間 | 50年以上 | 10年以上50年未満※1 | 30年以上 |
利用目的 | 制限なし | 事業用建物のみ | 制限なし |
契約方法 | 公正証書による等書面 | 公正証書に限る | 制限なし |
契約更新 | 更新なし | 更新なし | 更新なし |
建物買取請求権 | なし | なし※2 | あり |
返還方法 | 更地で返還(原則) | 更地で返還(原則) | 建物付きで返還 |
※1 事業用定期借地権等の存続期間は、10年以上30年未満(事業用借地権)と、30年以上50年未満(事業用定期借地権)がある。
※2 事業用定期借地権の場合、特約を付ける。
4 正しい。
一般定期借地権において、契約の更新および建物の築造による存続期間の延長がなく、建物等の買取りの請求をしないこととする旨を定める特約は、公正証書による等書面(電磁的記録による場合を含む)によってしなければならない。
(定期借地権)
第22条 存続期間を50年以上として借地権を設定する場合においては、第九条及び第十六条の規定にかかわらず、契約の更新(更新の請求及び土地の使用の継続によるものを含む。次条第一項において同じ。)及び建物の築造による存続期間の延長がなく、並びに第十三条の規定による買取りの請求をしないこととする旨を定めることができる。この場合においては、その特約は、公正証書による等書面によってしなければならない。
2 前項前段の特約がその内容を記録した電磁的記録(電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によっては認識することができない方式で作られる記録であって、電子計算機による情報処理の用に供されるものをいう。第三十八条第二項及び第三十九条第三項において同じ。)によってされたときは、その特約は、書面によってされたものとみなして、前項後段の規定を適用する。
(借地借家法・e-Gov法令検索)
(類題)一般定期借地権の設定契約は、公正証書による等書面(電磁的記録による場合を含む)によってしなければならない。〇
2級 学科試験(2023年9月10日実施)問題 44ー4
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