今回のテーマは、「株式の投資指標」である。
それでは、「ファイナンシャル・プランニング技能検定 2級 学科試験(2025年1月26日実施)」で出題された過去問にチャレンジしてみよう。
ファイナンシャル・プランニング技能検定 2級 学科試験(2025年5月25日実施)問題25
問題 25
下記<X社のデータ>に基づき算出される投資指標に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。

1.PBRは、2.0倍である。
2.PERは、10.0倍である。
3.ROEは、5.0%である。
4.配当利回りは、5.0%である。
正解:3
1.正しい。
PBR(Price Book-value Ratio、株価純資産倍率)とは
株価が1株あたり純資産の何倍まで買われているかを見る指標。株価の割安・割高の一般的な判断基準となる。
PBR =$\frac{株価}{1株あたり純資産(BPS)}$
BPS=$\frac{純資産}{発行済株式数}$
問題に当てはめて計算すると、
BPS=$\frac{1,000}{2}=500$
PBR=$\frac{1,000}{500}=2倍$
PBRの値 | 意味 | 投資判断の目安 |
---|---|---|
1倍未満 | 株価が純資産よりも低い | 割安とされることが多い(企業価値が過小評価されている可能性) |
1倍程度 | 株価が純資産と同程度 | 適正水準とされる |
1倍超 | 株価が純資産より高い | 成長期待が織り込まれている(割高の可能性も) |
2.正しい。
PER(Price Earnings Ratio、株価収益率)とは
株価が1株あたり利益の何倍まで買われているかを見る指標。株価の割安・割高の一般的な判断基準となる。
PER=$\frac{株価}{1株あたり当期純利益(EPS)}$
EPS=$\frac{当期純利益}{発行済株式数}$
問題に当てはめて計算すると、
EPS=$\frac{200}{2}=100$
PER=$\frac{1,000}{100}=10.0倍$
PERの値 | 意味 | 投資判断の目安 |
---|---|---|
10倍未満 | 割安とされることが多い | 利益に対して株価が低い(ただし業績悪化の可能性も) |
10〜20倍 | 一般的な水準 | 業種や市場によって異なる |
20倍超 | 割高とされることが多い | 成長期待が織り込まれている(期待先行の可能性も) |
3.誤り。
ROE(Return on Equity、自己資本利益率)は、企業が株主から預かった資本を使ってどれだけ効率的に利益を上げているかを示す指標である。
ROEの値 | 意味 | 投資判断の目安 |
---|---|---|
5%未満 | 利益効率が低い | 成熟企業や業績不振企業に多い |
5〜10% | 平均的 | 日本企業の平均はこの範囲が多い |
10%以上 | 高収益 | 資本効率が高く、成長性が期待される |
ROE=$\frac{当期純利益}{自己資本}$
ROE=$\frac{200}{1,000}×100=20$%
4.正しい。
配当利回り(Dividend Yield)は、株式投資において「株価に対してどれだけの配当が得られるか」を示す指標。
利回りの値 | 意味 | 投資判断の目安 |
---|---|---|
1%未満 | 低配当 | 成長企業に多く、利益を再投資している可能性 |
2〜4% | 平均的 | 安定した配当を出す企業が多い |
5%以上 | 高配当 | 魅力的だが、業績悪化や減配リスクに注意 |
配当利回り=1株当たり年間配当金/株価×100
1株当たり年間配当金=$\frac{年間配当金}{発行済株式数}$
=$\frac{100}{2}=50$
$\frac{50}{1000}×100=5$%
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