FP1級の過去問を解こう(2026年1月)「後期高齢者医療制度」

FP

今回のテーマは、「後期高齢者医療制度」である。

それでは、「ファイナンシャル・プランニング技能検定 1級 学科試験<基礎編>(2026年1月25日実施)」で出題された過去問にチャレンジしてみよう。

ファイナンシャル・プランニング技能検定 1級 学科試験<基礎編>(2026年1月25日実施)《問2》

《問2》 後期高齢者医療制度(以下、「本制度」という)に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。なお、記載のない事項については考慮しないものとする。
1) 本制度の被保険者は、後期高齢者医療広域連合の区域内に住所を有する者のうち、75歳以上の者または65歳以上75歳未満で要介護状態もしくは要支援状態にある旨の後期高齢者医療広域連合の認定を受けた者とされている。
2) 本制度の保険料は、原則として、被保険者の前年の所得に応じて決まる所得割額と被保険者均等割額との合計額であるが、所得割額の算出に用いる所得割率と被保険者均等割額は、各都道府県に設置される後期高齢者医療広域連合によって異なり、2年ごとに見直される。
3) 本制度の被保険者資格を取得した日の前日において健康保険の被扶養者であった者に係る保険料は、当該資格を取得した日の属する月以後2年を経過する月までの間に限り、所得割額および被保険者均等割額について5割に相当する金額が減額される。
4) 本制度の保険料について、被保険者の前年の収入が公的年金の老齢給付のみで、その収入金額が205万円以下であれば、所得割額は賦課されない。

一般社団法人 金融財政事情研究会 ファイナンシャル・プランニング技能検定 1級 学科試験<基礎編>(2026年1月25日実施)

答えを確認する

正解は 2 です。

後期高齢者医療制度は、75歳(一定の障害がある場合は65歳)以上の方が全員加入する独立した医療保険制度である。


1. 制度の基本構造

75歳の誕生日を迎えると、それまで加入していた健康保険(健保組合、協会けんぽ、国保など)から自動的に切り替わる。

  • 運営主体: 各都道府県の「後期高齢者医療広域連合」。
    • 財源:
      • 公費(税金): 約5割
      • 現役世代からの支援金:約4割
      • 加入者の保険料:約1割
    • 高齢者の医療費は、その多くが現役世代や公費によって支えられている。

2. 窓口での自己負担割合(1割・2割・3割)

所得に応じて、医療機関の窓口で支払う割合が異なる。

区分負担割合主な判定基準(世帯の所得状況)
現役並み所得者3割住民税課税所得が145万円以上。
一定以上所得者2割住民税課税所得が28万円以上。
(単身:年収200万円以上、複数世帯:合計320万円以上)
一般・低所得者1割上記のいずれにも該当しない方。

3. 2026年現在の重要トピックと改正点

近年、少子高齢化に伴う現役世代の負担軽減のため、負担増を伴う改正が続いている。

① 保険料の上限(賦課限度額)の引き上げ

高所得層の負担能力に応じた公平な負担を求めるため、保険料の年額上限が段階的に引き上げられている。

  • 2024年度:73万円
  • 2025年度:80万円
  • 2026年度:85万円(予定)

② 「2割負担」配慮措置の終了

2022年10月から導入された「2割負担」による急激な支払い増を抑えるための措置(外来の負担増を月3,000円までに抑えるもの)は、2025年9月30日をもって終了した。現在は、所得に応じた本来の負担割合が適用されている。

③ 出産育児一時金への拠出

2024年度から、少子化対策として現役世代を支援するため、後期高齢者の保険料からも「出産育児一時金」の一部を支援する仕組みが導入されている。


4. 高額療養費制度

医療費が高額になっても、ひと月あたりの自己負担額には上限がある。

  • 一般(1割・2割負担)の場合: 外来(個人単位)の上限は月額 18,000円
  • 世帯単位の上限: 入院などを含めた世帯ごとの上限は 57,600円(多数回該当などの例外あり)となる。

それでは、各肢を検討していこう。

1 誤り。

「65歳以上75歳未満で、政令で定める程度の障害の状態にある旨の後期高齢者医療広域連合の認定を受けた者」である。

後期高齢者医療制度の被保険者資格における「障害認定」の基準は、介護保険法の「要介護・要支援」とは異なる。

  • 75歳以上: 無条件で全員が被保険者となる。
  • 65歳以上75歳未満: 本人の申請に基づき、広域連合から一定の障害(身体障害者手帳1〜3級や4級の一部、精神障害者保健福祉手帳1〜2級など)があると認定された場合に限り、任意で加入できる。

2 正しい。

保険料の構成(所得割 + 均等割)

  • 所得割額: 被保険者の前年の所得に応じて計算される「応能負担」分。
  • 均等割額: 所得にかかわらず、被保険者1人ひとりが等しく負担する「応益負担」分。

これらを合計したものが個人の保険料(賦課限度額あり)となる。

決定主体(広域連合ごとの差異)

  • 所得割率や均等割額は全国一律ではなく、各都道府県の「後期高齢者医療広域連合」が条例で定める。2年ごとに見直される。

3 誤り。

所得割額は課されず、被保険者均等割額についてのみ、資格取得後2年を経過する月まで5割軽減される。

この規定は、会社の健康保険(健保組合や協会けんぽ)などの「被扶養者」だった方が、75歳になり後期高齢者医療制度へ移行した際の激変緩和措置である。

  1. 所得割額: 被扶養者であった方は、もともと保険料を直接納めていなかったため、移行後も所得割額は一切かからない
  2. 均等割額: 本来は1人分かかるが、負担急増を抑えるため、資格取得から2年間に限り5割軽減される。

4 誤り。

所得割額は、「前年の総所得金額等 - 基礎控除額(43万円)」 がプラスになる場合に賦課される。

公的年金収入のみ(65歳以上)の場合、年金所得の計算は以下の通りである。

  • 年金所得 = 年金収入 - 公的年金等控除額(110万円 ※収入330万円未満の場合)

ここから基礎控除を引くと:

  • 賦課対象所得 = (収入 - 110万円) - 43万円 = 収入 - 153万円

つまり、年金収入が 153万円 を超えると賦課対象所得が発生し、原則として所得割額が賦課されることになる。

(解法のポイント)

肢1は、「要介護認定=後期高齢者医療の対象」のひっかけ問題である。「後期高齢者医療」は別の法律(高齢者医療確保法:高齢者の医療の確保に関する法律)に基づいているため、認定基準が混同されやすい部分である。

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