本稿では、「建物の区分所有等に関する法律」を「区分所有法」という。
ファイナンシャル・プランニング技能検定 1級 学科試験<基礎編>(2026年9月13日実施)
《問38》 建物の区分所有等に関する法律に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。
- 規約および集会の決議は、区分所有者から売買により区分所有権を取得した当該区分所有者の特定承継人に対しても、その効力を生ずる。
- 専有部分が数人の共有に属するときは、共有者は、各共有者の持分の価格に従い、その過半数をもって、議決権を行使すべき者1人を定めなければならない。
- 区分所有者のうち、裁判により所在等不明区分所有者であるとされた者は、集会における議決権を有しない。
- 建替え決議があった場合に、建替え決議に賛成しなかった区分所有者が、建替え決議の内容により建替えに参加するか否かを回答すべき旨の催告を受けたが、一定期間内にその回答をしなかったときは、建替えに参加する旨を回答したものとみなされる。
出典:2026年9月実施 ファイナンシャル・プランニング技能検定1級 学科試験<基礎編>(一般社団法人 金融財政事情研究会)
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正解は 4 です。
前提知識
・区分所有法 (令和8年4月1日 施行)
各肢の解説
1.正しい。
マンションの「規約」や「集会の決議」は、前のマンションオーナーから部屋を譲り受けた新オーナー(特定承継人)にもそのまま引き継がれる。もし新オーナーに効力が及ばないと、所有者が変わるたびに規約及び集会の決議の効力がリセットされてしまい、マンション全体の維持・管理が成り立たなくなってしまう。(区分所有法 46条 1項)
(規約及び集会の決議の効力)
第四十六条 規約及び集会の決議は、区分所有者の特定承継人に対しても、その効力を生ずる。
(区分所有法・e-GOV法令検索)
2.正しい。
1つの部屋を複数人で共同で所有(共有)している場合、集会でそれぞれの持分ごとに議決権行使されると集計が複雑になり混乱する。そのため、各共有者の持分の価格に従い、その過半数をもって「議決権を行使する代表者(1人)」を定めなければならない。( 区分所有法 40条)
(議決権行使者の指定)
第四十条 専有部分が数人の共有に属するときは、共有者は、各共有者の持分の価格に従い、その過半数をもつて、議決権を行使すべき者一人を定めなければならない。
(区分所有法・e-GOV法令検索)
3.正しい。
所在等不明区分所有者については、所在等不明であるというだけでは、直ちに議決権を失うわけではない。そこで、裁判により所在等不明区分所有者とされた者は、集会において議決権を有しないものとされた。
これにより、所定の手続を経て所在等不明区分所有者の議決権を除外し、残りの区分所有者による集会の決議を可能にしている。(区分所有法 38条の2)
(所在等不明区分所有者の除外)
第三十八条の二 裁判所は、区分所有者を知ることができず、又はその所在を知ることができないときは、当該区分所有者(次項において「所在等不明区分所有者」という。)以外の区分所有者(以下この項及び第三項において「一般区分所有者」という。)又は管理者の請求により、一般区分所有者による集会の決議をすることができる旨の裁判をすることができる。
2 前項の裁判により所在等不明区分所有者であるとされた者は、前条の規定にかかわらず、集会における議決権(当該裁判に係る建物が滅失したときは、当該建物に係る敷地利用権を有する者又は当該建物の附属施設(これに関する権利を含む。)の共有持分を有する者が開く集会における議決権)を有しない。
(略)
(区分所有法・e-GOV法令検索)
4.誤り。
建替え決議に不賛成(反対)だった区分所有者が、催告を受けて一定期間内に回答しなかった場合、「建替えに参加しない旨を回答したもの」とみなされる。(=建替えに「反対(不参加)」扱いとなります)
なぜ「不参加扱い」になるのか?
マンションの建替えには多額の金銭負担や計画への同意が必要である。何も回答していない人を「参加(賛成)した」とみなすと、後から「建替え費用なんて払えない」といった大きなトラブルに発展してしまうため、「不参加(反対)」として取り扱う。(区分所有法 63条 4項)
なお、不参加とみなされた者に対しては、賛成者側から「売渡請求権(買い取り)」を行使して手続きが進められる。
(区分所有権等の売渡し請求等)
第六十三条 建替え決議があつたときは、集会を招集した者は、遅滞なく、建替え決議に賛成しなかつた区分所有者(その承継人を含む。)に対し、建替え決議の内容により建替えに参加するか否かを回答すべき旨を書面で催告しなければならない。
(略)
3 第一項に規定する区分所有者は、同項の規定による催告を受けた日から二月以内に回答しなければならない。
4 前項の期間内に回答しなかつた第一項に規定する区分所有者は、建替えに参加しない旨を回答したものとみなす。
(区分所有法・e-GOV法令検索)
(解法のポイント)
裁判で所在不明と決定された者は議決権を持たない(決議から除外される)。
→法改正で新設。



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