【FP1級】2026年9月「相続の承認および放棄」

FP

ファイナンシャル・プランニング技能検定 1級 学科試験<基礎編>(2026年9月13日実施)

《問44》 相続の承認および放棄に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。なお、記載のない事項については考慮しないものとする。

  1. 相続人が相続について単純承認したものとみなされた場合であっても、原則として、
    自己のために相続の開始があったことを知った時から3カ月以内であれば、相続の放
    棄をすることができる。
  2. 相続の放棄をした相続人は、原則として、自己のために相続の開始があったことを
    知った時から3カ月以内であれば、その相続の放棄を撤回することができる。
  3. 相続人が被相続人の配偶者と未成年の子の2人であって、配偶者と子が同時に相続
    の放棄をする場合、配偶者は、子のために特別代理人を選任することを家庭裁判所に
    請求しなければならない。
  4. 被相続人に配偶者、子および父母の4人の親族がいる場合に、子が相続の放棄をし
    たときは、配偶者の法定相続分は3分の2、父母の法定相続分はそれぞれ6分の1と
    なる。

出典:2026年9月実施 ファイナンシャル・プランニング技能検定1級 学科試験<基礎編>(一般社団法人   金融財政事情研究会)

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正解は 4 です。

前提知識

・民法


各肢の解説

1 誤り。

相続放棄ができる熟慮期間(自己のために相続の開始があったことを知った時から3カ月以内)であっても、一度単純承認をしてしまうと撤回はできない。(民法第919条1項)

(相続の承認又は放棄をすべき期間)
第九百十五条 相続人は、自己のために相続の開始があったことを知った時から三箇月以内に、相続について、単純若しくは限定の承認又は放棄をしなければならない。ただし、この期間は、利害関係人又は検察官の請求によって、家庭裁判所において伸長することができる。
(略)
(相続の承認及び放棄の撤回及び取消し)
第九百十九条 相続の承認及び放棄は、第九百十五条第一項の期間内でも、撤回することができない。
(民法・e-GOV法令検索)

2 誤り。

相続放棄が家庭裁判所で受理された場合、原則として期間内であっても撤回できない。
(民法919条1項)

(相続の承認及び放棄の撤回及び取消し)
第九百十九条 相続の承認及び放棄は、第九百十五条第一項の期間内でも、撤回することができない。(略)
(民法・e-GOV法令検索)

3 誤り。

原則として、親権者とその子の間で利益が対立する行為(利益相反行為)を行う場合、子のために「特別代理人」を選任する必要がある。
本肢は、親権者とその子の相続であり、まさに、利益相反行為に該当する。
ただし、親権者と未成年の子がともに相続人である場合でも、親権者と子が同時に相続放棄をするのであれば、原則として特別代理人の選任は不要である。

一方、親権者は相続放棄をせず、未成年の子だけが相続放棄をする場合には、親権者と子の利益が相反するため、原則として特別代理人の選任が必要になる。

(民法826条、裁判所「相続の放棄の申述」参照)

(利益相反行為)
第八百二十六条 親権を行う父又は母とその子との利益が相反する行為については、親権を行う者は、その子のために特別代理人を選任することを家庭裁判所に請求しなければならない。
2 親権を行う者が数人の子に対して親権を行う場合において、その一人と他の子との利益が相反する行為については、親権を行う者は、その一方のために特別代理人を選任することを家庭裁判所に請求しなければならない。
(民法・e-GOV法令検索)

4 正しい。

  1. 配偶者は常に相続人となり、子がいる場合は子とともに相続人となる。
  2. しかし、子が相続放棄をすると、初めからその子は相続人とならなかったものとみなされる。
  3. その結果、ほかに第1順位の相続人がいない場合は、第2順位である直系尊属(父母)が相続人となる。
  4. 配偶者と直系尊属が相続人となる場合の法定相続分は、配偶者が3分の2、直系尊属全体で3分の1となる。
  5. 父母がともに相続人となる場合は、直系尊属の相続分を均等に分けるため、父・母それぞれの相続分は6分の1となる。

したがって、配偶者が $\frac{2}{3}$、父が $\frac{1}{6}$、母が $\frac{1}{6}$ となる。

(配偶者の相続権)
第八百九十条 被相続人の配偶者は、常に相続人となる。この場合において、第八百八十七条又は前条の規定により相続人となるべき者があるときは、その者と同順位とする。

(子及びその代襲者等の相続権)
第八百八十七条 被相続人の子は、相続人となる。
(略)

(直系尊属及び兄弟姉妹の相続権)
第八百八十九条 次に掲げる者は、第八百八十七条の規定により相続人となるべき者がない場合には、次に掲げる順序の順位に従って相続人となる。
一 被相続人の直系尊属。ただし、親等の異なる者の間では、その近い者を先にする。
(民法・e-GOV法令検索)

(解法のポイント)

・単純承認が成立すると、熟慮期間(3カ月)内であっても放棄できない。
・一度受理された相続放棄は、原則として撤回できない。

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