今回のテーマは、「借地借家法」である。
それでは、「ファイナンシャル・プランニング技能検定 1級 学科試験<基礎編>(2025年1月26日実施)」で出題された過去問にチャレンジしてみよう。
ファイナンシャル・プランニング技能検定 1級 学科試験<基礎編>(2025年1月26日実施)《問36》
《問36》 借地借家法における定期建物賃貸借契約(定期借家契約)に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。なお、各選択肢において、賃貸人および賃借人は、いずれも宅地建物取引業者ではない個人であるものとし、記載のない事項については考慮しないものとする。
1) 定期建物賃貸借契約をする際は、賃貸人は、あらかじめ、賃借人に対し、契約の更新がなく、期間の満了により建物の賃貸借が終了することについて説明しなければならず、賃貸人がその説明をしなかったときは、契約の更新がないこととする旨の定めは無効となる。
2) 定期建物賃貸借契約において、その賃料が近傍同種の建物の賃料に比較して不相当となっても、賃貸借期間中は賃料の増減額をしない旨の特約をした場合、その特約は無効となる。
3) 定期建物賃貸借契約の期間が2年である場合に、賃貸人が期間の満了の10カ月前に、賃借人に対し、期間の満了により建物の賃貸借が終了する旨の通知をしたときは、その終了を賃借人に対抗することができる。
4) 自己の居住の用に供するために賃借している建物(床面積200㎡未満)の定期建物賃貸借契約において、転勤により建物を自己の生活の本拠として使用することが困難となったときは、賃借人は、解約の申入れの日から1カ月後に建物の賃貸借を終了させることができる。
正解:2
それでは、各肢を検討していこう。
1)正しい。
定期建物賃貸借契約をする際は、賃貸人は、あらかじめ、賃借人に対し、契約の更新がなく、期間の満了により建物の賃貸借が終了することについて説明しなければならず、賃貸人がその説明をしなかったときは、契約の更新がないこととする旨の定めは無効となる。(借地借家法第38条3項・5項)
2)誤り。
定期借家契約では、「賃料の増減をしない」という特約を有効に定めることが可能である。
つまり、当事者が合意すれば、契約期間中は近隣と比べて不相当でも賃料は変えない、という取り決めは有効となる。(借地借家法第38条9項)
3)正しい。
定期借家契約で期間が1年以上の場合、終了の1年前から6か月前までの間に通知が必要である(借地借家法第38条6項)。
→ この選択肢では「10か月前」に通知しており、条件に合致している。
4)正しい。
これはいわゆる「やむを得ない事情による中途解約権」で、借地借家法第38条7項に定められている。条件(居住用・200㎡未満・やむを得ない事情)を満たせば、1か月前の通知で契約を終了できる。
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