今回のテーマは、「公的年金の給付に係る併給調整」である。
ファイナンシャル・プランニング技能検定 1級 学科試験<基礎編>(2026年1月25日実施)
《問5》 公的年金の給付に係る併給調整に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。
なお、記載のない事項については考慮しないものとする。
1) 遺族厚生年金の受給権者が、60歳0カ月で老齢基礎年金の繰上げ支給の請求をした場合、その請求以後、遺族厚生年金と老齢基礎年金を同時に受給することができる。
2) 遺族厚生年金の受給権者が、65歳到達日に老齢基礎年金および老齢厚生年金の受給権を取得した場合、その取得以後、老齢基礎年金に加えて、遺族厚生年金および老齢厚生年金のうち、受給権者が選択したいずれか一方の年金が支給される。
3) 障害基礎年金および障害厚生年金の受給権者が、65歳到達前に遺族厚生年金の受給権を取得した場合、その取得以後、「障害基礎年金と障害厚生年金」「障害基礎年金と遺族厚生年金」のいずれかの組合せによる年金の受給を選択することができる。
4) 障害基礎年金および障害厚生年金の受給権者が、65歳到達日に老齢基礎年金および老齢厚生年金の受給権を取得した場合、その取得以後、「障害基礎年金と障害厚生年金」「老齢基礎年金と老齢厚生年金」「障害基礎年金と老齢厚生年金」のいずれかの組合せによる年金の受給を選択することができる。
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正解は 4 です。
【前提知識】
公的年金の給付に係る併給調整
1 誤り。
65歳前の併給関係
60歳から64歳までの期間に、老齢基礎年金を「繰上げ」で請求した場合、以下のいずれか一方を選択することになる。
- 遺族厚生年金 をそのまま受け取る(老齢基礎年金は全額支給停止)
- 繰り上げた老齢基礎年金 を受け取る(遺族厚生年金は全額支給停止)
したがって、60歳0カ月で繰上げ請求をした場合、その請求以後に2つの年金を同時に受給することはできない。
65歳以後の特例(併給が可能になる時期)
2つの年金を同時に受給できるようになるのは、本来の受給開始年齢である65歳に達した以後である。
65歳以後は特例として、以下の組み合わせでの併給が認められる。
- 「老齢基礎年金」 + 「遺族厚生年金」
注意点(繰下げ・繰上げのデメリット)
60歳で老齢基礎年金を繰上げ請求してしまうと、65歳になるまでの間は併給できない(どちらか片方しか選べない)にもかかわらず、老齢基礎年金の減額率(1カ月あたり0.4%減額)は一生涯固定されてしまう。そのため、遺族年金を受給している方が基礎年金を繰り上げるメリットは基本的にはないだろう。
2 誤り。
65歳以後の「遺族厚生年金」と「老齢厚生年金」の組み合わせについては、「どちらか一方を選択する」のではなく、原則として「老齢厚生年金が全額支給され、遺族厚生年金は老齢厚生年金に相当する額が支給停止になる(差額支給)」というルールになっている。(厚生年金保険法64条の2)
つまり、自分が納めた保険料に基づく老齢厚生年金を優先して受け取り、足りない分(遺族厚生年金の額のほうが高い場合)を遺族厚生年金から上乗せして受給する仕組みである。
第64条の2 遺族厚生年金(その受給権者が六十五歳に達しているものに限る。)は、その受給権者が老齢厚生年金の受給権を有するときは、当該老齢厚生年金の額に相当する部分の支給を停止する。
(厚生年金保険法・e-GOV法令検索)
3 誤り。
65歳前の併給関係(選択肢)
65歳前に「障害基礎+障害厚生」の受給権者が「遺族厚生」の受給権を得た場合、受給できるのは以下のいずれかひとつのグループ(選択制)となる。
- 【選択肢 A】 障害基礎年金 + 障害厚生年金
- 【選択肢 B】 遺族厚生年金 (※障害基礎年金は支給停止)
問題文にある「障害基礎年金と遺族厚生年金」という組み合わせは、65歳前には認められていないため、記述は誤りとなる。
65歳以後に可能になる特例
「障害基礎年金 + 遺族厚生年金」という変則的な組み合わせが認められるのは、65歳に到達した以後である。
4 正しい。
65歳以後に選択できる3つの組み合わせ
65歳以後は、以下の3つの組み合わせから、自由に選択することができる。
- 【パターン1:障害セット】 障害基礎年金 + 障害厚生年金 (これまで受給していたものをそのまま継続する形である)
- 【パターン2:老齢セット】 老齢基礎年金 + 老齢厚生年金 (一般的な老齢年金の形に切り替える選択である)
- 【パターン3:特例の組み合わせ】 障害基礎年金 + 老齢厚生年金 ★ (1級・2級の障害基礎年金を受給している人が、65歳以降に自分の老齢厚生年金を上乗せできる仕組みである)
(解法のポイント)
「老齢基礎年金 + 障害厚生年金」の組み合わせはないのか?
試験でひっかけ問題としてよく出題されるが、「老齢基礎 + 障害厚生」という逆の組み合わせは認められていない。
スキマ時間を有効活用できる【オンスク.JP】


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