遺言に関するルールは、試験でも頻出テーマである。
CBT試験問題・2級 学科試験(2026年5月公表分)
問54
民法上の遺言に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。
- 遺言者の相続人が、自宅で発見した自筆証書遺言を家庭裁判所の検認を受けずに開封した場合、その遺言は無効となる。
- 遺言者が自筆証書遺言に添付する財産目録をパソコンで作成する場合、当該目録への署名・押印は不要である。
- 公正証書遺言を作成する際には、証人3人以上の立会いが必要である。
- 公正証書遺言を作成した遺言者は、その遺言を自筆証書遺言によって撤回することができる。
出典:ファイナンシャル・プランニング技能検定・2級 学科試験・2026 年5月公表分(一般社団法人 金融財政事情研究会)
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正解は 4 です。
【前提知識】
民法 (第七章 遺言)
1 誤り。
家庭裁判所の「検認」を経ずに遺言を執行した場合や、封印のある遺言書を家庭裁判所以外で開封した場合には、5万円以下の過料に処される可能性がある。
ただし、検認を受けずに開封したからといって、遺言の内容自体が無効になるわけではない。
・民法1004条1項(遺言書の提出・検認)
・民法1005条(過料)
(遺言書の検認)
第千四条 遺言書の保管者は、相続の開始を知った後、遅滞なく、これを家庭裁判所に提出して、その検認を請求しなければならない。遺言書の保管者がない場合において、相続人が遺言書を発見した後も、同様とする。
(略)
(過料)
第千五条 前条の規定により遺言書を提出することを怠り、その検認を経ないで遺言を執行し、又は家庭裁判所外においてその開封をした者は、五万円以下の過料に処する。
(民法・e-GOV法令検索)
なお、法務局の遺言書保管制度を利用した自筆証書遺言は検認不要である。
(法務局における遺言書の保管等に関する法律・第11条)
(遺言書の検認の適用除外)
第十一条 民法第千四条第一項の規定は、遺言書保管所に保管されている遺言書については、適用しない。
(法務局における遺言書の保管等に関する法律・e-GOV法令検索)
2 誤り。
2019年(平成31年)施行の民法改正により、自筆証書遺言本文は手書き(自筆)が原則は変わらないものの、添付する「財産目録」に限ってはパソコン作成や通帳のコピー等での作成が可能になった。ただし、改ざん防止のため毎葉(全ページ)に遺言者の署名および押印が必要である。
・民法968条2項(自筆証書遺言)
(自筆証書遺言)
第九百六十八条 自筆証書によって遺言をするには、遺言者が、その全文、日付及び氏名を自書し、これに印を押さなければならない。
2 前項の規定にかかわらず、自筆証書にこれと一体のものとして相続財産(第九百九十七条第一項に規定する場合における同項に規定する権利を含む。)の全部又は一部の目録を添付する場合には、その目録については、自書することを要しない。この場合において、遺言者は、その目録の毎葉(自書によらない記載がその両面にある場合にあっては、その両面)に署名し、印を押さなければならない。
3 自筆証書(前項の目録を含む。)中の加除その他の変更は、遺言者が、その場所を指示し、これを変更した旨を付記して特にこれに署名し、かつ、その変更の場所に印を押さなければ、その効力を生じない。
(民法・e-GOV法令検索)
3 誤り。
公正証書遺言を作成する際に立ち会わなければならない証人は「2人以上」である。
3人以上である必要はない。
・民法969条1号(公正証書遺言)
(公正証書遺言)
第九百六十九条 公正証書によって遺言をするには、次に掲げる方式に従わなければならない。
一 証人二人以上の立会いがあること。
(略)
(民法・e-GOV法令検索)
4 正しい。
遺言者は、いつでも遺言の方式に関わらず、後の遺言で前の遺言を撤回することができる。
遺言の形式(公正証書・自筆証書・秘密証書など)に優劣はないため、公正証書で作成した遺言であっても、自筆証書遺言で撤回することが可能である。
なお、前の遺言と後の遺言との抵触等については、1023条に規定がある。
・民法1022条(遺言の撤回)
・民法1023条1項(前の遺言と後の遺言との抵触等)
(遺言の撤回)
第千二十二条 遺言者は、いつでも、遺言の方式に従って、その遺言の全部又は一部を撤回することができる。
(前の遺言と後の遺言との抵触等)
第千二十三条 前の遺言が後の遺言と抵触するときは、その抵触する部分については、後の遺言で前の遺言を撤回したものとみなす。
2 前項の規定は、遺言が遺言後の生前処分その他の法律行為と抵触する場合について準用する。
(民法・e-GOV法令検索)
(解法のポイント)
遺言の撤回=方式に優劣なし。後の有効な遺言で撤回可能。


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