【FP1級】2026年1月「宅地建物取引業法」

FP

今回のテーマは、「宅地建物取引業法」である。

ファイナンシャル・プランニング技能検定 1級 学科試験<基礎編>(2026年1月25日実施)《問35》

《問35》 宅地建物取引業法に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。なお、本問においては、買主は宅地建物取引業者ではないものとする。

1) 消費税の課税事業者である宅地建物取引業者が、空き家の建物とその敷地の売買の媒介に関して、売主または買主の一方から受け取ることのできる報酬の額は、その売買代金が600万円である場合、「売買代金×3.3%+6万6,000円」の算式により計算した26万4,000円が上限となる。
2) 宅地建物取引業者が、自ら売主となる宅地または建物の売買契約において手付を受領した場合、その手付がいかなる性質のものであっても、宅地建物取引業者が契約の履行に着手するまでは、買主はその手付を放棄して契約の解除をすることができる。
3) 宅地建物取引業者が専任媒介契約において、有効期間の満了に際して依頼者から特段の申出がなければ自動的に当該契約を更新する旨の特約をした場合、その特約は無効となる。
4) 宅地建物取引業者が専任媒介契約を締結したときは、契約の相手方を探索するため、所定の期間内に、当該専任媒介契約の目的物である宅地または建物につき、一定の事項を指定流通機構に登録しなければならない。

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正解は 1 です。

【前提知識】

宅地建物取引業法(宅建業法)


それでは、各肢を検討していこう。

1 誤り。

原則的な計算方法

通常の売買媒介における報酬の上限(消費税10%込)は、以下の計算式で求められる。

売買代金 × 3.3% + 6万6,000円

売買代金が600万円の場合
$$600万 \times 3.3\% + 66,000円 = 264,000円$$

これが、一般的な上限額である。

「空き家等の特例」による上限の引き上げ(2024年7月施行)

空き家問題を解消するため、2024年(令和6年)7月1日から報酬規定が改定された。

  • 対象
    売買代金が800万円以下の宅地建物(低廉な空き家等)
  • 特例の内容
    通常の計算式にかかわらず、最大33万円(税込)まで受領可能。
  • 条件
    1. 売主または買主から合意を得ていること。
    2. 通常の媒介と比較して現地調査等の費用を要する場合であること。

2 正しい。

手付は強制的に「解約手付」となる

宅建業法では、業者が自ら売主となる場合、交付された手付金は「解約手付」としての性格を持つものとみなされる。

たとえ契約書に「この手付は証約手付(契約の成立を証明するもの)であり、放棄しても解除できない」といった、買主に不利な特約を設けたとしても、その特約は無効となる。

解除ができる期限

買主が手付を放棄して契約を解除できるのは、「相手方が履行に着手するまで」である。

  • 買主が解除したい場合: 売主(業者)が履行に着手するまで。
  • 売主(業者)が解除したい場合: 買主が履行に着手するまで。

設問では「宅地建物取引業者が契約の履行に着手するまでは、買主はその手付を放棄して……解除をすることができる」となっており、この期限のルールに合致している。

手付解除の方法

双方が履行に着手する前であれば、以下の方法で理由を問わず契約を解除できる。

  • 買主からの解除: 支払った手付金を放棄する(返還を求めない)。
  • 売主(業者)からの解除: 受領した手付金を返し、さらに同額を支払う(倍返し)。
宅地建物取引業法
(手付の額の制限等)
第39条 宅地建物取引業者は、自ら売主となる宅地又は建物の売買契約の締結に際して、代金の額の十分の二を超える額の手付を受領することができない。
2 宅地建物取引業者が、自ら売主となる宅地又は建物の売買契約の締結に際して手付を受領したときは、その手付がいかなる性質のものであつても、買主はその手付を放棄して、当該宅地建物取引業者はその倍額を現実に提供して、契約の解除をすることができる。ただし、その相手方が契約の履行に着手した後は、この限りでない。
3 前項の規定に反する特約で、買主に不利なものは、無効とする。

3 正しい。

専任媒介契約の有効期間(上限)

専任媒介契約(専属専任を含む)の有効期間は、3か月を超えることができない。
もし3か月より長い期間を定めたとしても、3か月に短縮される。

自動更新の禁止

媒介契約は依頼者の意向を尊重する必要があるため、期間満了時に「自動的に更新する」という特約は無効となる。

更新には以下の条件が必要となる。

  • 依頼者からの申出があること。
  • 更新時の有効期間も、更新の時から3か月以内であること。

なぜ「無効」になるのか

宅建業法には「特約で、依頼者に不利なものは無効とする」というルールがある。

勝手に契約が延長されてしまう「自動更新」は、依頼者が他の業者に乗り換える機会を奪うことになり、依頼者にとって不利とみなされるため、法によってその効力が否定される。


比較:一般媒介契約の場合

試験で狙われやすいポイントとして、「一般媒介契約」との違いがある。

項目専任媒介契約一般媒介契約
有効期間の上限3か月制限なし
自動更新の特約無効特約があれば有効
更新の手続き依頼者の申出が必要特約の範囲内で可能
宅地建物取引業法
(媒介契約)
第34条の2
(略) 
3 依頼者が他の宅地建物取引業者に重ねて売買又は交換の媒介又は代理を依頼することを禁ずる媒介契約(以下「専任媒介契約」という。)の有効期間は、三月を超えることができない。これより長い期間を定めたときは、その期間は、三月とする。
4 前項の有効期間は、依頼者の申出により、更新することができる。ただし、更新の時から三月を超えることができない。
(略)

4 正しい。

指定流通機構(レインズ)への登録義務

専任媒介契約(専属専任を含む)を締結した業者は、広く他の業者に情報を公開して契約の相手方を見つけるため、物件情報を指定流通機構に登録しなければならない。

これは、業者が物件情報を囲い込み、自社だけで手数料を独占しようとするのを防ぐためのルールである。

登録までの「期間」のルール

試験で最も狙われやすいのが、この登録期限のカウント方法である。

  • 専任媒介契約の場合: 契約締結の日から7日以内(休業日を除く)
  • 専属専任媒介契約の場合: 契約締結の日から5日以内(休業日を除く)

注意!
「休業日を除く」という点がポイント。土日祝日などが業者の定休日であれば、その分はカウントに含まれない。

登録後の義務(登録証の交付)

指定流通機構に登録すると「登録を証する書面(登録証)」が発行される。業者はこれを遅滞なく依頼者に交付しなければならない。


専任媒介・専属専任・一般媒介の比較

媒介契約の種類によって、義務の内容が大きく異なる。

項目専任媒介専属専任媒介一般媒介
指定流通機構への登録7日以内5日以内義務なし
業務の処理状況の報告2週間に1回以上1週間に1回以上義務なし
自己発見取引可能禁止可能
宅地建物取引業法
(媒介契約)
第34条の2
(略) 
7 前項の宅地建物取引業者は、第五項の規定による登録に係る宅地又は建物の売買又は交換の契約が成立したときは、国土交通省令で定めるところにより、遅滞なく、その旨を当該登録に係る指定流通機構に通知しなければならない。
(略)
宅地建物取引業法施行規則
(指定流通機構への登録期間)
第15条の10 法第三十四条の二第五項の国土交通省令で定める期間は、専任媒介契約の締結の日から七日(専属専任媒介契約にあつては、五日)とする。
2 前項の期間の計算については、休業日数は算入しないものとする。

(解法のポイント)
「一般媒介契約にも3か月制限がある」→ ❌誤り
「一般媒介契約は期間の定めがなくてもよい」→ ⭕正しい

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