今回のテーマは、給与等の支給額が増加した場合の法人税額の特別控除」である。
ファイナンシャル・プランニング技能検定 1級 学科試験<基礎編>(2026年1月25日実施)
《問30》 「給与等の支給額が増加した場合の法人税額の特別控除」(中小企業向け賃上げ促進税制。以下、「本控除」という)に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。なお、各選択肢において、本控除の適用を受ける法人は一定の中小企業者等であるもの
とし、ほかに必要とされる要件等はすべて満たしているものとする。
1) 本控除の適用を受けようとする事業年度の雇用者給与等支給額が前事業年度から1%増加した場合、控除対象雇用者給与等支給増加額の15%相当額を法人税額から控除することができる。
2) 本控除の適用年度において、税額控除率に一定割合が上乗せされる要件をすべて満たした場合、本控除による控除額の計算上、控除対象雇用者給与等支給増加額に乗じる税額控除率は50%となる。
3) 本控除により法人税額から控除することができる金額は、本控除の適用年度の法人税額の20%相当額が限度となる。
4) 控除対象雇用者給与等支給増加額に本控除の税額控除率を乗じて計算した金額のうち、本控除の適用年度の法人税額から控除しきれない金額については、最長で3年にわたって繰り越すことができる。
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正解は 3 です。
【前提知識】
「給与等の支給額が増加した場合の法人税額の特別控除」(中小企業向け賃上げ促進税制)
それでは、各肢を検討していこう。
1 誤り。
中小企業向けと大企業(中堅企業)向けで要件が異なるが、原則として15%の税額控除(通常分)を適用するためには、以下の増加率が必要となる。
- 中小企業の場合
継続雇用者給与等支給額が前年度比で1.5%以上増加していること。 - 大企業・中堅企業の場合
継続雇用者給与等支給額が前年度比で3%以上増加していること。
本肢にある「1%増加」では、基本の税額控除(15%)の適用要件に届かない。
2 誤り。
現在の「賃上げ促進税制」において、上乗せ要件をすべて満たした場合の最大控除率は45%(中小企業の場合)であり、50%に達することはない。
中小企業向け税制(最大45%)の仕組み
- 通常分
給与支給額が1.5%以上増加 → 15% - 上乗せ(賃上げ)
給与支給額が2.5%以上増加 → +15%(計30%) - 上乗せ(教育訓練費)
教育訓練費が前年比10%以上増加かつ支給額の0.05%以上 → +10%(計40%) - 上乗せ(子育て・女性活躍)
「くるみん」または「えるぼし(二段階目以上)」の認定取得 → +5%(計45%)
3 正しい。
法人税額の20%が上限
どれだけ賃上げを行い、計算上の控除額が大きくなったとしても、最終的に差し引けるのはその事業年度の法人税額の20%までである。これは、中小企業・中堅企業・大企業のいずれの区分でも共通のルールとなっている。
4 誤り。
繰越期間は「5年間」である。
控除しきれなかった金額(控除限度超過額)の繰り越しのポイントは、以下の通りである。
- 対象は「中小企業者等」のみ
この繰越控除制度を利用できるのは、原則として中小企業者等に限られる。 - 繰越期間は「5年間」
「3年」ではなく、最長で5年間にわたって繰り越すことができる。 - 適用要件の継続
繰越税額控除を適用しようとする各事業年度において、その年度でも「雇用者給与等支給額が前年度より増加していること」などの要件を満たしている必要がある。
(解法のポイント)
繰越期間
5年(3年ではない)
対象
中小企業者等
限度額
繰り越した分を含めても、各年度の法人税額の20%が上限


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