今回のテーマは、「生命保険の一般的な商品性」である。
それでは、「ファイナンシャル・プランニング技能検定 2級 学科試験(2024年1月28日実施)」で出題された過去問にチャレンジしてみよう。
ファイナンシャル・プランニング技能検定 2級 学科試験(2024年1月28日実施)問題 12
問題 12
生命保険の一般的な商品性に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。なお、特約については考慮しないものとする。
1.外貨建て終身保険では、死亡保険金を円貨で受け取る場合、受け取る金額は為替相場によって変動する。
2.変額保険(終身型)では、資産の運用実績に応じて死亡保険金額が変動するが、契約時に定めた保険金額(基本保険金額)は保証される。
3.こども保険(学資保険)では、契約者(=保険料負担者)が死亡した場合であっても、保険契約は継続し、被保険者である子の成長に合わせて祝金(学資金)等を受け取ることができる。
4.低解約返戻金型終身保険では、他の契約条件が同一であれば、低解約返戻金型ではない終身保険と比較して、保険料払込期間満了後も解約返戻金額が低く設定されている。
一般社団法人金融財政事情研究会 ファイナンシャル・プランニング技能検定 2級 学科試験(2024年1月28日実施)
正解:4
それでは、問題を検討していこう。
なお、問題は、特に指示のない限り、2023年10月1日現在施行の法令等に基づいて出願されているが、正解及び解説は、執筆時点の法令等に基づいて執筆する。
1 正しい。
外貨建て終身保険では、死亡保険金を円貨で受け取る場合、受け取る金額は為替相場によって変動する。
外貨建て終身保険
保険料の支払いや保険金の受け取りを米ドルなどの外貨で行う。
- 為替が契約時より円高になった場合は、年金受取額が払込保険料相当額を下回ることがある。
- 円換算支払特約(運用は外貨で行い、保険料の支払いと保険金の受け取りは円貨で行う特約)をつけていても、為替リスクがあり、受取総額が減ることがある。
- 生命保険料控除や死亡保険金の非課税金額については、円建ての生命保険と同様の取り扱いになっている。
(類題)外貨建て個人年金保険では、年金を円貨で受け取る場合、外貨と円貨との為替レートの変動により、年金受取総額が払込保険料相当額を下回ることがある。〇
2級 学科試験(2023年9月10日実施)問題 12ー3
2 正しい。
変額保険(終身型)では、資産の運用実績に応じて死亡保険金額が変動するが、契約時に定めた保険金額(基本保険金額)は保証される。
変額保険は、運用の成果が、契約者に直接帰属する保険である。運用がうまくいくと多くの保険金額や解約返戻金が支払われる一方で、運用がうまくいかない場合は、満期保険金や解約返戻金が、払込保険料総額を下回ることもある投資性商品である。
ただし、被保険者が、死亡または高度障害になる保険事故が起きたときは、基本保険金額が最低保証される。
(類題)変額保険(終身型)では、契約時に定めた保険金額(基本保険金額)は保証されておらず、運用実績によっては、死亡保険金額が基本保険金額を下回る。✖
2級 学科試験(2023年5月28日実施)問題 12ー1
3 正しい。
こども保険(学資保険)では、契約者が死亡した場合、死亡保険金は支払われないが、以後の保険料は免除される。契約者が亡くなっても契約自体は継続となり、祝金や満期保険金が支払われる。
(類題)こども保険(学資保険)では、契約者が死亡した場合、あらかじめ指定された受取人に死亡給付金が支払われる。✖
2級 学科試験(2023年9月10日実施)問題 12ー4
4 誤り。
低解約返戻金型終身保険は、保険料払込期間満了までは、解約返戻金を少なくすることで、保険料を安くした終身保険である。保険料払込期間満了後は、解約返戻金は通常に戻る。
(類題)低解約返戻金型終身保険では、他の契約条件が同一で低解約返戻金型ではない終身保険と比較して、保険料払込期間中の解約返戻金額が低く抑えられており、割安な保険料が設定されている。〇
2級 学科試験(2023年5月28日実施)問題 12ー4
(解法のポイント)本問で問われている論点は、これまでに何度も問われている。過去問学習の大切さが実感できるだろう。
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