FP1級の過去問を解こう(2024年5月)「配偶者居住権・配偶者短期居住権」

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今回のテーマは、「配偶者居住権・配偶者短期居住権」である。

それでは、「ファイナンシャル・プランニング技能検定 1級 学科試験<基礎編>(2024年5月26日実施)」で出題された過去問にチャレンジしてみよう。

ファイナンシャル・プランニング技能検定 1級 学科試験<基礎編>(2024年5月26日実施)《問45》

《問45》 配偶者居住権および配偶者短期居住権に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。

1) 被相続人が相続開始時に居住建物を子と共有していた場合、被相続人の配偶者は被相続人が所有していた共有持分に応ずる配偶者居住権を取得することができる。
2) 配偶者居住権を取得した配偶者が死亡した場合、配偶者居住権は当該配偶者の相続財産として遺産分割の対象となる。
3) 配偶者短期居住権を取得することができる配偶者は、相続開始時において、被相続人が所有していた建物に無償で居住し、かつ、被相続人との婚姻期間が20年以上である者とされている。
4) 配偶者短期居住権の対象となる建物の所有権を遺贈により取得した第三者が、配偶者短期居住権を消滅させるよう配偶者に対して申し入れた場合、配偶者短期居住権の存続期間は、申入れの日から6カ月を経過する日までとなる。

一般社団法人 金融財政事情研究会 ファイナンシャル・プランニング技能検定 1級 学科試験<基礎編>(2024年5月26日実施)

正解:4

それでは、各肢を検討していこう。

なお、問題は、2023年10月1日現在施行されている法令等により出題されているが、正解及び解説は執筆時点で現在施行されている法令等に基づいて執筆する。

1 誤り。

配偶者居住権
夫婦の一方が死亡した場合、被相続人が所有し、残された配偶者が居住していた建物に、配偶者が終身または一定の期間、無償で居住することができる権利である。

なお、被相続人が相続開始の時に居住建物を配偶者以外の者と共有していた場合にあっては、配偶者居住権は成立しない。(民法1028条ただし書)

建物の価値は、所有権と配偶者居住権に分けられ、配偶者居住権は、相続財産として相続税の課税対象となる。

2 誤り。

配偶者居住権は他人に譲渡することはできず(民法1032条2項)、相続の対象にもならない。(同1030条)

3 誤り。

配偶者短期居住権
残された配偶者が、被相続人の所有する建物に無償で居住していた場合、一定期間(最低、相続開始後6カ月間)は無償で居住できる権利である。(民法1037条1項)

したがって、配偶者短期居住権は、年齢や婚姻期間という要件はない

4 正しい。

配偶者短期居住権の対象となる建物の所有権を遺贈により取得した第三者が、配偶者短期居住権を消滅させるよう配偶者に対して申し入れた場合、配偶者短期居住権の存続期間は、申入れの日から6カ月を経過する日までとなる。(民法1037条1項)

なお、配偶者居住権とは異なり、相続財産とはならない。

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