今回のテーマは、「生命保険と税務(法人契約の経理処理)」である。
それでは、「ファイナンシャル・プランニング技能検定 1級 学科試験<基礎編>(2025年5月25日実施)」で出題された過去問にチャレンジしてみよう。
正解:3
✅保険の特徴
こちらは、「法人契約・法人受取」の定期保険である。
- 被保険者は役員(Aさん)
- 保険金の受取人は会社(X社)
この保険は、法人の「福利厚生」や「事業保障」の目的で加入されることが多く、「保険料の一部を費用(定期保険料)として、残りを資産(前払保険料)」として会計処理する。
税務のポイント
この定期保険は、支払った保険料を全額損金にはできない。
一部を損金(定期保険料)、残りを資産(前払保険料)として処理する。
この振り分け比率は、税法のルールに従って、保険のタイプ・年齢・保険期間などを元に、定められた比率で計算される。
今回の保険料300万円はどう処理する?
1.誤り。
180万円:120万円 → 60%損金:40%資産
保険期間に対して損金割合が高すぎる。
2.誤り。
150万円:150万円 → 50%損金:50%資産
90歳満了なら妥当であった。
3.正解
なぜこの配分?
税務上の「定期保険料の損金算入割合」の目安には、以下のような区分がある。(あくまで一例)
保険期間満了年齢 | 被保険者年齢50歳の場合の損金算入割合(目安) |
80歳満了 | 約60%損金:40%資産 |
90歳満了 | 約50%損金:50%資産 |
98歳満了 | 40%損金:60%資産 ←これが今回該当する |
今回は「98歳満了」「50歳加入」ということで、40%:60%ルールが適用されると考えられる。
- 300万円 × 40% = 120万円(損金)
- 300万円 × 60% = 180万円(資産)
この計算に合うのが、3の仕訳である。
したがって、正しい仕訳は以下の通りとなる。
(借方) 定期保険料 120万円(損金に計上)
前払保険料 180万円(資産に計上)
(貸方) 現預金 300万円(支払額)
4.誤り。
84万円:216万円 → 28%損金:72%資産
98歳満了でも、被保険者がもっと若い場合の比率に近い。
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