【FP1級】2026年1月「在職老齢年金」

年金 FP

今回のテーマは、「在職老齢年金」である。

ファイナンシャル・プランニング技能検定 1級 学科試験<基礎編>(2026年1月25日実施)

《問4》 在職老齢年金に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。

1) 厚生年金保険の被保険者が老齢基礎年金および老齢厚生年金の受給権者である場合、在職老齢年金の仕組みにより老齢厚生年金(報酬比例部分)の全部が支給停止されても、老齢基礎年金は支給停止とならない。
2) 老齢厚生年金に加給年金額が加算される場合、在職老齢年金の仕組みにより老齢厚生年金(報酬比例部分)の一部が支給停止されても、当該加給年金額は支給停止とならない。
3) 在職老齢年金の仕組みにより一部が支給停止されている老齢厚生年金の受給権者について、定時決定により標準報酬月額の等級が変更となる場合、7月分の老齢厚生年金から支給停止される額が変更となる。
4) 老齢厚生年金の繰下げ支給の申出をした場合、老齢厚生年金の年金額のうち、在職老齢年金の仕組みにより支給停止とされる部分の金額は、支給を繰り下げたことによる増額の対象とならない。

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正解は 3 です。

【前提知識】
在職老齢年金


それでは、各肢を検討していこう。

1 正しい。

在職老齢年金の仕組みと対象

在職老齢年金とは、65歳以降も厚生年金に加入して働く(=報酬がある)場合に、年金額と給与(総報酬月額相当額)の合計が一定基準を超えると、年金の一部または全額がカットされる仕組みである。

支給停止の対象となる年金
  • 老齢厚生年金(報酬比例部分)のみ
  • 加給年金(老齢厚生年金に付随するもの)も、本体の報酬比例部分が全額停止になれば、あわせて停止になる。
支給停止にならない(全額支給される)年金
  • 老齢基礎年金
  • 経過的加算

どんなに働いて「老齢厚生年金」が全額カット(支給停止)されたとしても、「老齢基礎年金」だけは必ず満額(経過的加算がある場合はそれも含め)受け取ることができる。

2 正しい。

老齢厚生年金の報酬比例部分が、在職老齢年金の仕組み一部がカットされる場合でも加給年金額は、全額支給される。
なお、老齢厚生年金の報酬比例部分が全額支給停止なら加給年金額は、全額支給停止となる。
(厚生年金保険法46条)

3 誤り。

標準報酬月額の定時決定(算定基礎届)のスケジュールと、年金額への反映にはタイムラグがある。

  • 4月・5月・6月
    この3ヶ月間の給与をベースに新しい標準報酬月額を決定する。
  • 9月
    新しい標準報酬月額が適用(実施)される
  • 10月分〜
    9月に変わった標準報酬月額に基づき、在職老齢年金の支給停止額が再計算される。

4 正しい。

繰下げ増額の対象外となる仕組み

老齢厚生年金を繰り下げた場合、増額の計算(月々 $0.7\%$)は、「本来受給できるはずだった年金額」がベースになる。しかし、この「本来受給できる額」には大きな制限がある。

増額される部分
  • 実際に「支給」されていたはずの額(= 報酬比例部分から、在職老齢年金による支給停止額を差し引いた後の金額)
増額されない部分
  • 在職老齢年金の仕組みによって「支給停止」とされた額(= 働いていてカットされていた分は、繰り下げても増えない)

解法のポイント
在職老齢年金の計算に用いられる「総報酬月額相当額」が更新されるのは、標準報酬月額が変わる「9月」からである。年金は「月単位」で計算されるため、9月の変更分が反映された10月の支払分の年金から支給停止額が変わることになる。(年金は後払い(偶数月))

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