今回のテーマは、「直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の贈与税の非課税」である。
それでは、「ファイナンシャル・プランニング技能検定 1級 学科試験<基礎編>(2026年1月25日実施)」で出題された過去問にチャレンジしてみよう。
ファイナンシャル・プランニング技能検定 1級 学科試験<基礎編>(2026年1月25日実施)《問42》
《問42》 「直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の贈与税の非課税」(以下、本特例」という)に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。なお、各選択肢において、ほかに必要とされる要件等はすべて満たしているものとする。
1) 本特例の対象となる住宅取得等資金には、住宅用家屋を取得する際に支払う不動産仲介手数料、不動産取得税、登録免許税に充てるための金銭や、住宅ローンの返済費用に充てるための金銭は含まれない。
2) 父母それぞれから贈与を受けた金銭により子が一定の省エネ等住宅に該当する住宅用家屋を新築した場合、本特例の適用を受けることにより、父母から受けた贈与のそれぞれ1,000万円までの金額について、贈与税が非課税とされる。
3) 祖母から贈与を受けた金銭により孫が店舗併用住宅(店舗部分の床面積が150㎡、居住用部分の床面積が100㎡)の店舗部分の一部を改築して居住用部分とし、当該住宅の改築後の店舗部分の床面積が100㎡、居住用部分の床面積が150㎡となった場合、孫は本特例の適用を受けることができる。
4) 祖父から贈与を受けた金銭により孫が土地を取得し、その土地上に孫の配偶者が住宅用家屋を新築して、土地については孫の単独所有、住宅用家屋については孫の配偶者の単独所有となる場合、孫は本特例の適用を受けることができる。
ファイナンシャル・プランニング技能検定 1級 学科試験<基礎編>(2026年1月25日実施)
正解:1
本特例は、親や祖父母(直系尊属)からマイホームの購入や新築、増改築のための資金を援助してもらう際、一定の要件を満たせば贈与税が最大1,000万円まで非課税になる制度である。
現行(2026年2月時点)の基本的な仕組みを整理して解説しよう。
非課税限度額
住宅の性能によって、非課税となる限度額が異なる。
| 住宅の区分 | 非課税限度額 |
| 質の高い住宅(省エネ、耐震、バリアフリー等) | 1,000万円 |
| 上記以外の一般住宅 | 500万円 |
注記: 「質の高い住宅」とは、断熱等性能等級5以上かつ一次エネルギー消費量等級6以上、または耐震等級2以上などの基準を満たし、証明書を提出できるものを指す。
主な受贈者(もらう人)の要件
贈与を受ける人には、以下の条件をすべて満たす必要がある。
- 直系尊属からの贈与であること: 実父母、実祖父母からの贈与が対象(義父母からの贈与は、養子縁組をしていない限り対象外)。
- 年齢制限: 贈与を受けた年の1月1日時点で、18歳以上であること。
- 所得制限: 合計所得金額が2,000万円以下であること(※床面積が40㎡以上50㎡未満の場合は1,000万円以下)。
- 居住要件: 贈与を受けた年の翌年3月15日までに、その資金の全額を充てて住宅を取得し、同日までに居住すること(または遅滞なく居住することが確実であること)。
対象となる住宅の要件
- 床面積: 50㎡以上240㎡以下であること。
- 所在地: 日本国内にある住宅であること。
- 中古住宅の場合: 現行の耐震基準に適合していること(昭和57年1月1日以降に建築されたものは適合とみなされる)。
申告の手続き(※重要)
この制度で最も注意すべき点は、「税金が0円になる場合でも、必ず贈与税の申告が必要」という点である。
- 申告期間: 贈与を受けた年の翌年2月1日から3月15日まで。
- 提出先: 受贈者の住所地を管轄する税務署。
- 必要書類: 贈与税の申告書、戸籍謄本、登記事項証明書、工事請負契約書や売買契約書の写し、住宅性能を証明する書類など。
他の制度との併用
本制度は、「暦年贈与(基礎控除110万円)」と併用が可能である。
つまり、質の高い住宅であれば、1,000万円(非課税枠)+ 110万円(基礎控除)= 合計1,110万円まで、資金を受け取ることができる。
⚠️ 注意点
- 贈与のタイミング: 必ず「売買契約の前」ではなく、「代金の支払い(決済)の前」に贈与を受け、それを購入資金に充てる必要がある。すでに全額支払った後に、後出しで「お祝い」として受け取った場合は対象外となるリスクがある。
- 相続時精算課税との関係: 相続時精算課税制度を選択している場合でも、本特例を優先して適用できる。
それでは、各肢を検討していこう。
1 正しい。
本特例はあくまで「住宅の新築、取得または増改築等の『対価』」に充てるための金銭が対象である。そのため、付随する諸費用や債務の弁済は対象外となる。
2 誤り。
この特例の非課税限度額は「もらう人(受贈者)」を基準に判定されるため、父母それぞれから1,000万円ずつもらっても、合計で2,000万円が非課税になるわけではない。
3 誤り。
本特例の要件として、「増改築等後の床面積が50㎡以上240㎡以下であること」が定められている。
本肢では、もともと250㎡の建物であり、改築後も250㎡であるため、この要件を満たしていない。
4 誤り。
本特例を「土地の取得資金」として利用する場合、単に土地を買えばよいわけではなく、「その土地の上に建つ住宅(家屋)の所有権」が誰にあるかが問われる。
そのルールは以下の通りである。
- 家屋の新築・取得が伴うこと: 土地の取得資金について本特例を受けるには、その土地の上に家屋を新築等する必要がある。
- 所有者の一致: その家屋の所有者は、「贈与を受けた本人(孫)」、または「本人を含む共有」でなければならない。
本肢では、家屋が「孫の配偶者の単独所有」となっているため、土地を取得した孫本人は「自分の居住用家屋を取得した」とはみなされず、土地代金についての特例適用は受けられない。
(解法のポイント)
本特例は頻出論点なので、この機会に整理しておこう。
肢3はひっかけ問題となっている。


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