【FP1級】2026年5月「不動産鑑定評価基準」

FP

今回のテーマは、「不動産鑑定評価基準」である。

ファイナンシャル・プランニング技能検定 1級 学科試験<基礎編>(2026年5月24日実施)

《問34》 不動産鑑定評価基準に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。

1) 原価法は、価格時点における対象不動産の再調達原価を求め、この再調達原価について減価修正を行って対象不動産の試算価格(積算価格)を求める手法であり、対象不動産が土地のみである場合においても、再調達原価を適切に求めることができるときは適用することができるものとされている。
2) 収益還元法は、対象不動産が将来生み出すであろうと期待される純収益の現在価値の総和を求めることにより対象不動産の試算価格(収益価格)を求める手法であり、賃貸用不動産または賃貸以外の事業の用に供する不動産の価格を求める場合に特に有効とされている。
3) 収益還元法において、収益価格を求める方法には、一期間の純収益を還元利回りによって還元する直接法と、連続する複数の期間に発生する純収益および復帰価格をその発生時期に応じて現在価値に割り引き、それぞれを合計する間接法がある。
4) 取引事例比較法の適用にあたっては、多数の取引事例を収集する必要があり、当該取引事例は、原則として、近隣地域または同一需給圏内の類似地域に存する不動産に係るもののうちから選択するものとされている。

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正解は 3 です。

【前提知識】
不動産鑑定評価基準


1 正しい。

土地に対する原価法の適用について

原価法は、基本的には「建物を建築(再調達)するのにいくらかかるか」という発想が根底にあるため、建物や建物付き建物(複合不動産)に適用しやすい手法である。しかし、不動産鑑定評価基準では「土地のみ」であっても、以下の条件を満たせば適用できる。

  • 適用条件: 土地の再調達原価を適切に求めることができるとき

なぜ土地なのに「再調達原価」が求められるのか?

通常、さら地の土地は「新しく作る(調達する)」ことができない。しかし、以下のようなケースでは、土地であっても例外的に再調達原価(その土地をもう一度手に入れる・作り出すためのコスト)を論理的に算出することが可能である。

  • 埋立地や造成地
    素地(元の土地)の購入費用に、埋立てや造成にかかった工事費用(社会的費用を含む)を足すことで、再調達原価を計算できる。
  • 既成市街地(通常の宅地など)
    近隣地域等から「素地(大規模な開発前の土地など)」の価格を割り出し、そこに標準的な宅地造成費を足すことで、間接的に再調達原価を求めることができる。

2 正しい。

収益還元法の重要ポイント

試算価格の名称
収益還元法によって求められた試算価格は「収益価格」と呼ばれる。

特に有効とされる不動産
賃貸用不動産
賃貸マンション、オフィスビル、貸店舗など(家賃収入を生むため、最も適用しやすい)。

賃貸以外の事業の用に供する不動産
ホテル、遊園地、病院、店舗兼住宅など(自社で経営して売上・利益を生むため、その事業収益をベースに評価可能)。

3 誤り。

「間接法」→「DCF(ディスカウント・キャッシュ・フロー)法」

収益還元法 ──┬── 直接還元法(直接法)
        └── DCF法(ディスカウント・キャッシュ・フロー法)

「間接法」という用語は鑑定評価基準に存在しない。

4 正しい。

取引事例比較法において、「どこの地域の事例を持ってくるべきか」ということは収集範囲に関する重要な規定である。

取引事例は、原則として以下の地域から選択しなければならない。

  1. 近隣地域: 対象不動産が存在する、そのものの地域。
  2. 同一需給圏内の類似地域: 対象不動産と代替・競争関係が成り立つ広い圏域(同一需給圏)の中にある、近隣地域と似た特性を持つ地域。

解法のポイント
直接還元法 = 単年度の利益を見る(シンプル)
DCF法 = 複数年の利益の推移と将来の売却益まで緻密に見る(リアル)

この2つの対比とキーワード(「一期間・還元利回り」⇔「複数の期間・復帰価格・現在価値に割引」)をセットで押さえておこう。

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