今回は、「法人が加入している定期保険を解約したときの経理処理」に関する問題を取り上げよう。
法人の生命保険の税務(損金算入・資産計上ルール)は、頻出論点である。
ファイナンシャル・プランニング技能検定 1級 学科試験<基礎編>(2026年9月13日実施)

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正解は 2 です。
この問題の最大のポイントは、「契約年月日が2019年7月改正の前か後か」を見極めることである。ここを見落とすと計算結果が異なるため、注意したい。
1. 問題の概要と条件整理
まずは問題文に提示された条件を確認しよう。
- 保険の種類:無配当定期保険(特約付加なし)
- 契約年月日:2017年4月1日(※超重要ポイント!)
- 契約者(=保険料負担者):X社
- 被保険者:代表取締役社長 Aさん(加入時54歳)
- 死亡保険金受取人:X社
- 保険期間・払込期間:100歳満了(保険期間 46年間)
- 基本保険金額:1億円
- 最高解約返戻率:80.0%
- 年払保険料:360万円
- 解約時点:2026年12月(保険料10回払込済)
- 解約返戻金:2,800万円
- 払込保険料累計額:3,600万円(360万円 × 10年)
この保険を2026年12月に解約し、解約返戻金2,800万円を「現金・預金」で受け取ったときの仕訳を選択する問題である。
2. 最重要ポイント:2019年7月8日以前の契約は「旧通達」が適用される!
問題文に「最高解約返戻率80.0%」と書かれているため、2019年(令和元年)7月の新通達ルール(資産計上率60%など)をあてはめてしまった方も多いのではないだろう?
しかし、契約年月日を見ると「2017年4月1日」となっている。
法人保険の税務ルールは、「契約日」時点の通達が適用される。
したがって、2019年7月7日以前に契約した保険には「旧通達」が適用される。
3. 旧通達における「長期平準定期保険」の判定
旧通達では、以下の2つの要件を両方満たす定期保険を「長期平準定期保険」として扱う。
- 保険期間満了時の年齢が70歳を超えている
- 100歳満了 $\rightarrow$ 該当
- 「加入時年齢 +(保険期間 × 2)」が105を超えている
- $54歳 + (46年 \times 2) = \mathbf{146 > 105}$ $\rightarrow$ 該当
今回の保険は2つの条件を満たすため、旧通達における「長期平準定期保険」に該当する。
4. 長期平準定期保険の経理処理ルール
旧通達における長期平準定期保険の取扱いは以下の通りである。
- 資産計上期間:保険期間の前半6割相当期間($46年 \times 60$% $= \mathbf{27.6年}$)
- 毎年の経理処理:払込保険料の 1/2(50%)を「前払保険料」(資産計上)、残りの 1/2(50%)を「保険料」(損金算入) とする(いわゆるハーフタックス処理)
解約時点(2026年12月)は契約から10年目であり、前半27.6年の期間内に該当する。
10回払込後の前払保険料残高
毎年の払込保険料360万円のうち50%を資産計上してきたため、10回払込後の前払保険料残高は以下のようになる。
- 毎年の資産計上額:$360万円 \times 50$% $= \mathbf{180万円/年}$
- 10年間の前払保険料残高:
$\text{180万円} \times 10年 = \mathbf{1,800万円}$
(※払込保険料累計額 3,600万円 $\times$ 50$% $= 1,800万円 と計算しても同額)
5. 解約時の仕訳を作成する
帳簿上に残っている前払保険料(1,800万円)を取り崩し、受け取った解約返戻金(2,800万円)との差額を「雑収入」で処理する。
- 借方(受取金額):現金・預金 2,800万円
- 貸方(資産取り崩し):前払保険料 1,800万円
- 貸方(差額利益):雑収入 1,000万円($2,800万円 – 1,800万円$)
| 借方 | 貸方 | ||
|---|---|---|---|
| 現金・預金 | 2,800万円 | 前払保険料 | 1,800万円 |
| 雑収入 | 1,000万円 | ||
したがって、正解は 2) となる。
6. まとめ:問題文の「契約年月日」を必ずチェック!
- まず契約年月日を確認しよう
- 2019年7月7日以前 $\rightarrow$ 旧通達(長期平準定期保険=50%資産計上など)
- 2019年7月8日以降 $\rightarrow$ 新通達(最高解約返戻率に応じた区分)
- 本問は2017年契約のため旧通達を適用し、50%(1,800万円)資産計上されていると判断する
最高解約返戻率などに気を取られず、契約日に着目することが正解へのポイントである。



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