今回のテーマは、「個人住民税」である。
《問29》 個人住民税に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。なお、記載のない事項については考慮しないものとする。
1) X市に住所を有する個人事業主のAさんが、Y市に所在する事業所で事業を行っている場合、X市では個人住民税の均等割が課され、Y市では個人住民税の所得割が課される。
2) 不動産賃貸業を営む個人事業主のBさんが青色申告を行う場合、不動産所得の金額の計算上、所得税では青色申告特別控除額を控除することができるが、個人住民税の所得割では青色申告特別控除額を控除することはできない。
3) 会社員のCさんが2025年分の所得税において住宅借入金等特別控除の適用を受けた場合に、その控除額のうち、所得税額から控除しきれなかった金額は、所得税の課税総所得金額等の合計額の5%相当額または97,500円のいずれか少ない金額を限度として、2026年度分の個人住民税の所得割額から控除することができる。
4) 会社員のDさんが勤務先を退職し、退職手当の支払を受けた場合に、当該退職手当に係る個人住民税の所得割額の計算上、課税退職所得金額に乗じる所得割の税率は、課税退職所得金額が大きくなるにつれて段階的に高くなる超過累進税率である。
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正解は3です。
【前提知識】
個人住民税
それでは、各肢を検討していこう。
1 誤り。
Aさんの住所地であるX市において、均等割と所得割の両方が課税される。
住所地課税の原則
個人住民税(市町村民税・道府県民税)は、原則としてその年の1月1日現在に「住所がある市区町村」が、その人の前年の所得に対して課税する。
- 所得割: 所得金額に応じて計算される部分
- 均等割: 定額で課される部分
Aさんの場合、住所がX市にあるため、所得割も均等割もすべてX市で計算・徴収される。
(例外)家屋敷均等割
一方で、住所地以外(この場合はY市)に「事務所、事業所または家屋敷」を持っている場合、その場所の公共サービス(消防、警察、道路の整備など)を享受しているという考えから、均等割のみが別途課税される。
2 誤り。
所得税で適用される「青色申告特別控除」は、個人住民税の所得割の計算においても、同様に控除することができる。
控除の対象
事業所得、不動産所得、山林所得がある青色申告者。
3 正しい。
いわゆる「住宅ローン控除」の住民税への適用に関するルール。所得税から引ききれなかった分を住民税でカバーする仕組みである。
住宅ローン控除(住民税分)のポイント
【控除の順序】
まず「所得税」から控除し、それでも残額がある場合に「翌年度の住民税」から差し引く。
【住民税からの控除限度額】
以下のいずれか小さい額が限度となる。
- 所得税の課税総所得金額等の 5%
- 最高 97,500円
4 正しい。
退職所得に係る個人住民税の税率は、所得の大きさに関わらず一律 10%(市町村民税 6%、道府県民税 4%)の「比例税率」が適用される。
【退職所得に係る所得税と個人住民税の違い】
「所得税」と「個人住民税」で税率の仕組みが異なる。
- 所得税
超過累進税率(5%〜45%の7段階)が適用される。所得が大きくなるほど税率が上がる。 - 個人住民税
比例税率(一律 10%)が適用される。どれだけ退職金が多くても税率は変わらない。
(解法のポイント)
住民税から住宅ローン控除を受けるために、別途市区町村へ申告書を提出する必要はない。
年末調整や確定申告が行われていれば、自動的に反映される。
試験対策としても、この「5%」と「97,500円」という数字は重要である。


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