今回のテーマは、「外貨建て割引債の円換算の最終利回り計算(1年複利)」である。
ファイナンシャル・プランニング技能検定 1級 学科試験<基礎編>(2026年1月25日実施)《問21》
《問21》 下記の〈条件〉で、為替予約を付けずに円貨を米ドルに交換して米ドル建ての割引債を購入し、償還時に償還金を円貨に交換して受け取る場合の最終利回り(1年複利
計算による年率換算)として、次のうち最も適切なものはどれか。なお、税金等は考慮
せず、計算結果は表示単位の小数点以下第3位を四捨五入すること。

答えを確認する(ここをクリック)
正解は1)です。
【前提知識】
カスタマーズレート(対顧客市場)
TTS(Telegraphic Transfer Selling rate)
円を外貨に替える時に適用される為替レートのこと。金融機関が、顧客へ外貨を販売する時のレートである。
TTB(Telegraphic Transfer Buying Rate)
外貨を円に戻すときの為替レートのことを指す。金融機関が、顧客から外貨を購入する際のレートとなる。
TTM(Telegraphic Transfer Middle Rate)
金融機関が顧客と外国為替取引を行う際の当日受け渡し用の基準レートで、TTSとTTBの平均値である。
この問題は、外貨建て割引債を円貨で購入し、満期時に円貨で回収した場合の「円換算での最終利回り(複利)」を求める計算問題である。
以下のステップで計算を進めよう。
1. 円貨ベースでの購入価格を算出
まず、100米ドルあたりの債券をいくらの円で購入したかを求める。
- 債券のドル価格: 88.50米ドル
- 適用レート(購入時)
円をドルに替えるため、TTS(150.00円)を使用する。
$$\text{購入時の円貨額} = 88.50 \text{米ドル} \times 150.00 \text{円} = 13,275 \text{円}$$
2. 円貨ベースでの償還金額を算出
次に、4年後の満期時に受け取る円貨額を求める。
- 償還時のドル価格: 100.00米ドル
- 適用レート(償還時): ドルを円に替えるため、 TTB(146.00円)を使用する。
$$\text{償還時の円貨額} = 100.00 \text{米ドル} \times 146.00 \text{円} = 14,600 \text{円}$$
3. 1年複利の最終利回りを算出
複利の基本式に当てはめる。
1年あたりの成長率($1 + \text{利回り}$)を $n$ とすると、4年間の運用は以下の式で表せる。
$$13,275 \times n^4 = 14,600$$
$n$ を算出し、利回りを導出する。
- 4年間の総倍率を算出
$$n^4 = \frac{14,600}{13,275} \approx 1.099811…$$ - 1年あたりの倍率($n$)を算出
電卓で $\sqrt{\quad}$ (ルート)を2回叩くことで、4乗根を求める。
$$n = \sqrt{\sqrt{1.099811…}} \approx 1.02407…$$ - 利回り(%)への換算
$$1.02407… ー 1 = 0.02407…$$
$$0.02407… \times 100 = 2.407…\%$$
小数点以下第3位を四捨五入すると 2.41% となる。
(メモ)
手順2で求めた $1.02407…$ は「元本の 1 倍 + 増えた分 0.02407…」という意味である。
求める利回り $r$ は、ここから元本分の 1 を引いたもの:$$r = 0.02407…$$となる。
(解法のポイント)レートの選択
- 外貨を買うとき(円から外貨へ)→TTS:銀行側にすれば売る。
- 外貨を売るとき(外貨から円へ)→TTB :銀行側にすれば買う。
つまり、売るか買うかを銀行側の視点で考えると、TTSとTTBを間違えにくくなる。


コメント