FP1級の過去問を解こう(2024年1月)「相続登記の義務化」

相続 FP1_E_不動産

今回のテーマは、2024年4月1日に施行される改正不動産登記法における「相続登記の義務化」である。

それでは、「ファイナンシャル・プランニング技能検定 1級 学科試験<基礎編>(2024年1月28日実施)」で出題された過去問にチャレンジしてみよう。

ファイナンシャル・プランニング技能検定 1級 学科試験<基礎編>(2024年1月28日実施)《問34》

《問34》 2024年4月1日に施行される改正不動産登記法における相続等による所有権の移転の登記(以下、「相続登記」という)に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。

1) 相続によって不動産を取得した相続人は、自己のために相続の開始があったことを知り、かつ、その所有権を取得したことを知った日から3年以内に相続登記の申請をしなければならない。
2) 法定相続分に応じて相続登記がされた後に、遺産分割協議の成立により、当該相続分を超えて所有権を取得した者は、当該遺産の分割の日から3年以内に相続登記の申請をしなければならない。
3) 相続登記の申請の義務化は、2024年4月1日以後に相続の開始があった場合について適用され、2024年3月31日以前に相続の開始があった場合は適用されない。
4) 相続登記の申請をすべき義務がある者が正当な理由がなく申請をしない場合に対して、不動産登記法において罰則規定が設けられている。

一般社団法人金融財政事情研究会 ファイナンシャル・プランニング技能検定 1級 学科試験<基礎編>(2024年1月28日実施)

正解:3

それでは、各肢を検討していこう。
なお、問題は、特に指示のない限り、2023年10月1日現在の法令等に基づいて出願されている。
ただし、本問については、問題文にもあるように、2024年4月1日現在に基づくものとする。

1 正しい。

所有権の登記名義人について相続の開始があったときは、当該相続により所有権を取得した者は、自己のために相続の開始があったことを知り、かつ、当該所有権を取得したことを知った日から3年以内に、所有権の移転の登記を申請しなければならない。遺贈(相続人に対する遺贈に限る。)により所有権を取得した者も、同様とする。(改正不動産登記法76条の2第1項)

2 正しい。

すでに法定相続分に応じて相続登記がされた後に、遺産の分割があったときは、当該遺産の分割によって当該相続分を超えて所有権を取得した者は、当該遺産の分割の日から3年以内に、所有権の移転の登記を申請しなければならない。(改正不動産登記法76条の2第2項)

3 誤り。

相続登記の義務化は、令和6年4月1日から始まる。
ただし、令和6年4月1日より前に相続した不動産も、相続登記がされていないものは、義務化の対象になる。この場合は、令和9年3月31日までに相続登記をする必要がある。
(参考)法務省Webサイト「相続登記の申請義務化に関するQ&A

4 正しい。

改正不動産登記法第76条の2第1項若しくは第2項又は第76条の3第4項の規定による申請をすべき義務がある者が正当な理由がないのにその申請を怠ったときは、10万円以下の過料に処することとされた。(改正不動産登記法第164条)

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