FP1級の過去問を解こう(2024年1月)「事業所得(棚卸資産)」

棚卸 FP

今回のテーマは、「事業所得(棚卸資産)」である。

それでは、「ファイナンシャル・プランニング技能検定 1級 学科試験<基礎編>(2024年1月28日実施)」で出題された過去問にチャレンジしてみよう。

ファイナンシャル・プランニング技能検定 1級 学科試験<基礎編>(2024年1月28日実施)《問25》

《問25》 居住者の事業所得の金額の計算における棚卸資産の価額の評価方法等に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。

1) 製造業を営む者が、原価計算を行わないため半製品および仕掛品について製造工程に応じて製品売価の何%として評価する場合、その評価方法は、売価還元法に該当する。
2) その年の前年12月31日における棚卸資産につき低価法により評価していた場合、その年の12月31日における棚卸資産の評価額の計算の基礎となるその棚卸資産の取得価額は、当該低価法による評価額ではなく、当該低価法の基礎として選定している原価法により評価した価額による。
3) 売上原価に計上する棚卸資産の評価方法は、事業の種類ごと、棚卸資産の区分ごとに選定し、所轄税務署長に届け出るが、届出をしない場合は、最終仕入原価法が評価方法とされる。
4) 販売用の棚卸資産を自家消費したときは、原則として、事業所得の金額の計算上、当該棚卸資産の販売価額の50%相当額を総収入金額に算入する。

一般社団法人金融財政事情研究会 ファイナンシャル・プランニング技能検定 1級 学科試験<基礎編>(2024年1月28日実施)

正解:4

それでは、問題を検討していこう。
なお、問題は、特に指示のない限り、2023年10月1日現在施行の法令等に基づいて出願されているが、正解及び解説は、執筆時点の法令等に基づいて執筆する。

1 正しい。

製造業を営む者が、原価計算を行わないため半製品および仕掛品について製造工程に応じて製品売価の何%として評価する場合、その評価方法は、売価還元法に該当する。
(所得税基本通達47-4(半製品又は仕掛品についての売価還元法))

2 正しい。

その年の前年12月31日における棚卸資産につき低価法により評価していた場合、その年の12月31日における棚卸資産の評価額の計算の基礎となるその棚卸資産の取得価額は、当該低価法による評価額ではなく、当該低価法の基礎として選定している原価法により評価した価額による。
(所得税基本通達47-14(前年末において低価法により評価している場合の棚卸資産の取得価額))

3 正しい。

売上原価に計上する棚卸資産の評価方法は、事業の種類ごと、棚卸資産の区分ごとに選定し、所轄税務署長に届け出るが、届出をしない場合は、最終仕入原価法が評価方法とされる。
(所得税法施行令102条)

4 誤り。

原則)「たな卸資産の贈与等の場合の総収入金額算入」に規定する消費又は贈与、遺贈若しくは譲渡の時における資産の価額に相当する金額は、その消費等をした資産がその消費等をした者の販売用の資産であるときは、当該消費等の時におけるその者の常他に販売する価額により、その他の資産であるときは、当該消費等の時における通常売買される価額による。

特例)事業を営む者が棚卸資産を自己の家事のために消費した場合又は贈与若しくは遺贈をした場合において、当該棚卸資産の取得価額以上の金額をもってその備え付ける帳簿に所定の記載を行い、これを事業所得の金額の計算上総収入金額に算入しているときは、当該算入している金額が、原則に定める価額に比し著しく低額(おおむね70%未満)でない限り、原則にかかわらず、これを認める。
(所得税基本通達39-2 法第39条《たな卸資産等の自家消費の場合の総収入金額算入》関係)

類題)個人事業主が販売用の棚卸資産を自家消費したときは、原則として、事業所得の金額の計算上、当該棚卸資産の販売価額の50%相当額を総収入金額に算入する。✖
1級 学科試験<基礎編>(2021年5月23日実施)問25ー1

解法のポイント)棚卸資産の価額の評価方法について、肢1と2は少し細かなところを聞いているものの、肢3は、必修事項であり、肢4は過去にも出題されている。

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