今回のテーマは、「認知」である。
それでは、「ファイナンシャル・プランニング技能検定 1級 学科試験<基礎編>(2024年5月26日実施)」で出題された過去問にチャレンジしてみよう。
ファイナンシャル・プランニング技能検定 1級 学科試験<基礎編>(2024年5月26日実施)《問42》
《問42》 民法における認知に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。
1) 子が出生後に父に認知され、その後、父母が婚姻した場合、当該子は出生の時に遡って嫡出子としての身分を取得する。
2) 父は胎内にある子を認知する場合、母の承諾を得なければならないが、出生した子については母の承諾を得なくても認知することができる。
3) 非嫡出子を父は遺言によって認知することができ、遺言により認知された非嫡出子はその父の相続人となる。
4) 認知された非嫡出子の法定相続分は、嫡出子の法定相続分と同じである。
一般社団法人 金融財政事情研究会 ファイナンシャル・プランニング技能検定 1級 学科試験<基礎編>(2024年5月26日実施)
正解:1
それでは、問題を検討していこう。
なお、問題は、特に指示のない限り、2023年10月1日現在施行の法令等に基づいて出願されているが、正解及び解説は、執筆時点の法令等に基づくものする。
1 誤り。
実子は、父母が法律上の婚姻関係であるか否かによって、嫡出子と非嫡出子に区分される。
すなわち、非嫡出子とは、法律上の婚姻関係にない男女を父母として生まれた子をいう。
本肢の場合、子が出生後に父に認知され、その後、父母が婚姻している。
この場合、出生の時にさかのぼってその効力を生ずるのは、認知者・被認知者間の法律上の親子関係(非嫡出親子関係)である。
嫡出でない子は、その父又は母がこれを認知することができる。(民法779条)
認知は、出生の時にさかのぼってその効力を生ずる。(784条本文)
したがって、認知によって、嫡出子としての身分を取得するのではない。
2 正しい。
父は胎内にある子を認知する場合、母の承諾を得なければならないが、出生した子については母の承諾を得なくても認知することができる。
父は、胎内に在る子でも、認知することができる。この場合においては、母の承諾を得なければならない。(民法783条1項)
3 正しい。
認知は、遺言によっても、することができる。(民法781条2項)
そして、認知の重要な効果は、父に対する扶養請求が可能になること(877条1項)と、相続権が発生することである。(887条1項、900条1号、4号)
4 正しい。
認知された非嫡出子の法定相続分は、嫡出子の法定相続分と同じである。(民法887条1項、900条4号)
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