今回のテーマは、「国民年金の保険料」である。
CBT試験問題・2級 学科試験(2025 年5月公表分)
問4
国民年金の保険料に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。
1) 国民年金の第1号被保険者は、国民年金の保険料の納付を免除または猶予されている者および国民年金基金の加入員等を除き、月額400円の付加保険料を納付することができる。
2) 産前産後期間の保険料免除制度により国民年金の保険料の納付が免除された期間は、保険料納付済期間として老齢基礎年金の年金額に反映される。
3) 国民年金の保険料免除期間に係る保険料を追納する場合、追納すべき額は、追納する時期にかかわらず、免除された時点における保険料の額となる。
4) 国民年金の保険料を前納した第1号被保険者が、その前納に係る期間の経過前に第2号被保険者となった場合、前納した保険料のうち、未経過期間に係るものの還付を受けることができる。
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正解は3です。
【前提知識】
国民年金
各肢を検討していこう。
1 正しい。
(国民年金)付加保険料のポイント
- 対象者
国民年金の第1号被保険者(自営業者、学生、無職の方など)および任意加入被保険者に限られる。 - 納付額
月額 400円(定額)である。 - 除外対象
以下の人は加入できない。- 国民年金保険料を免除・猶予されている人(法定免除・申請免除・学生納付特例・納付猶予)。
- 国民年金基金の加入者(基金には付加年金に相当するものが含まれているため、重複加入は不可)。
- 受給額
老齢基礎年金に上乗せして受け取れる年金額は、以下の数式で計算される。
$$200円 \times 付加保険料納付月数$$
2 正しい。
(国民年金)産前産後期間の免除制度のポイント
- 年金額への反映
免除された期間は、保険料を全額納付したもの(保険料納付済期間)として扱われる。
したがって、将来受け取る老齢基礎年金の額が減ることはない。 - 付加保険料との関係
この免除期間中は、例外的に付加保険料を納付することが可能である。 - 対象期間
出産予定日(または出産日)の属する月の前月から4ヶ月間が免除される。- 多胎妊娠(双子以上)の場合は、出産予定日等の3ヶ月前から6ヶ月間となる。
- 原則として、市区町村の国民年金窓口等に「産前産後期間の保険料免除届出書」を提出する必要がある。届出は、出産予定日の6か月前から可能であり、出産後でも行うことができる。
第1号被保険者(自営業・フリーランス等)にとって、(国民年金)産前産後期間の保険料免除制度は「保険料を払わなくて良いのに、満額払ったのと同じ扱いになる」というメリットがある。法定免除や申請免除を受けている場合でも、この産前産後免除を優先して適用させることが可能である。
3 誤り。
免除された期間から3年度目以降を過ぎて追納する場合、当時の保険料額に加算額が上乗せされる。
(国民年金)追納額に関するルールのポイント
追納する金額は、いつ納めるかによって以下のように変わる。
- 2年度以内
免除を受けた年度から数えて2年度以内であれば、当時の保険料額のまま(加算なし)で納めることができる。 - 3年度目以降
免除を受けた年度から数えて3年度目以降に追納する場合は、当時の保険料額に、経過期間に応じた加算額が上乗せされる。
なぜ加算されるのか?
物価や賃金の変動、および早期に納付した人との公平性を保つため、利息のような形で加算金が発生する仕組みになっている。
追納制度の主なルール
| 項目 | 内容 |
| 追納可能期間 | 追納ができるのは、追納承認を受けた日の属する月前10年以内の期間に限られる。(国民年金法94条1項) |
| 納付の優先順位 | 複数の免除期間がある場合、原則として古い期間から順に納付する必要がある。 |
| メリット | 追納した保険料は、その年の社会保険料控除の対象となり、所得税・住民税が軽減される。 |
(保険料の追納)
第94条 被保険者又は被保険者であつた者(老齢基礎年金の受給権者を除く。)は、厚生労働大臣の承認を受け、第八十九条第一項、第九十条第一項又は第九十条の三第一項の規定により納付することを要しないものとされた保険料及び第九十条の二第一項から第三項までの規定によりその一部の額につき納付することを要しないものとされた保険料(承認の日の属する月前10年以内の期間に係るものに限る。)の全部又は一部につき追納をすることができる。ただし、同条第一項から第三項までの規定によりその一部の額につき納付することを要しないものとされた保険料については、その残余の額につき納付されたときに限る。
(略)
国民年金法(e-Gov法令検索)
4 正しい。
(国民年金)保険料の還付に関するポイント
還付の対象
第2号被保険者になった月以降の「未経過期間」分の保険料が対象である。
手続き
年金事務所から「国民年金保険料還付請求書」が届くので、必要事項を記入して返送する。
時効
国民年金保険料については、保険料などを徴収する権利と、納め過ぎた保険料などの還付を受ける権利に時効が定められており、国民年金法102条4項により、いずれも「権利を行使することができる時から2年」を経過すると時効によって消滅する。
このように、国民年金の保険料の徴収権や還付請求権の時効期間は、民法とは別に、国民年金法という特別法によって2年と定められている点がポイントである。実務上は、納め過ぎた国民年金保険料の還付を受けるには、日本年金機構から送付される還付請求書などにより、2年以内に請求手続を行う必要があり、2年を過ぎると還付を受けられなくなるため注意が必要となる。
「未経過期間の還付」は、第2号被保険者になった場合だけでなく、第3号被保険者(専業主婦・主夫など)になった場合や、死亡した場合も同様に受けることができる。前納は節約術として有効だが、ライフステージが変わった際の手続きもセットで覚えておこう。
(時効)
第102条 年金給付を受ける権利は、その支給すべき事由が生じた日から五年を経過したとき、当該権利に基づき支払期月ごとに支払うものとされる年金給付の支給を受ける権利は、当該日の属する月の翌月以後に到来する当該年金給付の支給に係る第十八条第三項本文に規定する支払期月の翌月の初日から五年を経過したときは、時効によつて、消滅する。
2 前項に規定する年金給付を受ける権利の時効は、当該年金給付がその全額につき支給を停止されている間は、進行しない。
3 第一項に規定する年金給付を受ける権利又は当該権利に基づき支払期月ごとに支払うものとされる年金給付の支給を受ける権利については、会計法(昭和二十二年法律第三十五号)第三十一条の規定を適用しない。
4 保険料その他この法律の規定による徴収金を徴収し、又はその還付を受ける権利及び死亡一時金を受ける権利は、これらを行使することができる時から2年を経過したときは、時効によつて消滅する。
国民年金法(e-Gov法令検索)
(解法のポイント)
国民年金の追納ルールは整理しておこう。
2年度以内の追納
・免除を受けた「年度」から数えて2年度以内なら、当時の保険料と同じ金額で納めることができる。
・この期間は「加算金なし」で、純粋にそのときの保険料分だけを払えばよい。
3年度目以降の追納
3年度目以降に追納する場合は、免除当時の保険料に「加算金」が上乗せされる。


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